その4 食事休憩と川組の状況
次にやったのは屋根の材料つくり。
具体的には竹を割って節を抜く。
手順で言うと
① 竹はノコギリで切り込みを二十センチくらい入れる。
② 切り込みの間に長いスパナを入れで少しずつ割っていく。
③ 五十センチ位割れたら細い竹棒を間に入れ下まで一気に割ってしまう。
④ 割れた竹はハンマーで叩いて内側の節を取る。
という作業だ。
「何かこの割るときの感触が癖になりますね」
慣れてくると結構気持ちよく竹が半分に割れてくれるようになる。
最初は三本に一本綺麗に割れないのが出たけれど。
そんな感じでスパスパと四十本ほど竹を半分に割った。
不良品を含めると四十七本だ。
次に半分にした竹を大きく四角く組んで紐で止める。
その上に半分にした竹を内側が上になるよう並べる。
更に上に半分にした竹を内側を下にかつ互い違いになるよう並べて載せる。
最後にその上に半分にした竹を四角く組んだ最初の竹の上になるよう載せて紐でくくれば完成だ。
「そうか、下の竹が水を受けるから屋根の下に水が漏れないと」
「実際には豪雨になるとある程度の雨漏りはすると思うけれどね。それでもほぼこれで屋根の役割はしてくれると思うよ」
そんな感じでほぼ三・六四方の屋根のパネルが完成した。
「あとは横の壁パネル二枚と後の壁パネル一枚、前の壁パネル一枚を作る。柱を立てて縦横すじがいを組む。最後に柱にパネルを取り付けて紐で縛れば完成という訳。
ただこればかりやっていても面白く無いから、午後は骨組みまでにしてちょっと他の場所を見てみようよ。バイク組とかため池組とかね」
時計を見ると午前十一時五十五分。
そろそろお昼だ。
そんな訳で僕ら三人は空の一輪車を押して家へと戻る。
◇◇◇
一輪車を戻して家の中を覗いてみる。
既にご飯は出来ているようだ。
そんな訳で家の中へ入ってダイニングキッチンへ。
今日のメニューは冷麺。
麺はここで猫又さんと雪女さんと美鈴さんが自作した模様。
鋳物製の頑丈そうな手回し式製麺機が置いてある。
「何か本格的な自作麺だなあ」
「うちの実家にあった製麺機なんです。それで製麺が趣味になって」
猫又さんがそう説明する。
確かに麺が凄く美味しそうだ。
麺その物はもう茹でて水洗いして冷やしてある。
それを自分で好きな量入れて基本のタレをかける。
あとは自分の好みのトッピングを入れれば完成だ。
トッピングはカクテキと白菜キムチ、キュウリ、茹で鶏、ゆで卵、タケノコ、ゼンマイという感じ。
DK続きのリビング八畳に座卓とこたつが置いてあり、皆そこで食べている。
ちょうど亜理寿さんの隣が空いていた。
なのでそこに陣取らせて貰う。
そんな訳で自作冷麺をまず一口。
うん、独特の腰があって美味しい。
「美味しいです。ありがとうございます」
「大量にあるからおかわりして下さいね」
確かにこれなら何杯でも食べられそうで怖い。
「確かに美味しいですよね、この麺。私は冷麺は始めてですけれど」
「有名店のにも負けないと思うのだ」
横の亜理寿さんと斜め前の深川先輩もそう言って食べている。
「ところでどうですか、そちらの作業は?」
亜理寿さんが聞いてきた。
「まだ基礎を固めて、屋根のパネルを作ったところまで。川の方はどう?」
「水が綺麗で魚がいっぱいいました。ため池はヤマメもいるそうです。水門も動くことを確認しました。用水路の方を一度確認してから水を流してみる予定です」
なるほどな。
「魚の種類はどんな感じ?」
「ヤマメ以外だとタナゴ、フナ、ハヤ、ドジョウがいたのだ。あとは小さ過ぎてメダカと判別がつかないのだ」
これは座卓の斜め前にいた深川先輩の返答だ。
「美鈴さんが言うにはため池に誰かが放したワカサギもいるそうです。でもまだ季節的に小さいのでどの魚がワカサギかよくわかりませんでした」
「小さいとどれもメダカに見えるのだ」
「あとため池の上部の沢には沢ガニもいましたね」
「採りはじめると時間がかかりそうなので今日はやめておいたのだ」
結構色々いる模様。
そっちも結構遊べそうだ。
「なら釣りもできますね」
「釣りは時間ばかりかかって苦手なのだ。網で一気にやるのが好みなのだ」
「安いゴムボートでも買って天気のいい日に試してみようという話です。あと美鈴さんが言うには基本どの魚も昔は食べたそうです。基本は軽く焼いた後甘辛く佃煮風に煮るそうですが、揚げても美味しいそうです」
その辺りの魚も食べられるのか。
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