金沢、今日、二話

しばらくしてバスが来た

バス停には庭園で見た人らがちらほら居る

次はどこに行こうか

パンフレットや旅行本を見、複数人連れは和気藹々と楽しそうで

お一人様は、じっと次の狙いを決めていた

順を決めていた人もいるようで

次はここだね

と家族は言い、一人は俟ったりと外を見ていた

相変わらずの曇り空、時々小ぶりの雨が降る

さて、各ルートが書かれた折り紙を見た

どこもかしこも知らない所だらけだ

ふいに見たことのある名前を見つけた

前田利家とお松

へえ、と昔にプレイしたゲームを思い出す

尾山神社

もう一度、へえと思い、行こうかと茫然と外を見る

ぐるぐる回る観光バス、どこに乗ってもどこにも行ける

はっきり言って尾山神社も人が多かった

庭園から見る人、参拝してから見る人

兼六園で見た人は前の香林坊や辻家庭園で降りた

巡礼みたいなものだろう

絶え間なくバスは来るのだから、どこで降りても困らない

尾山神社には大きな塔が建っていた

塔の正面にステンドグラスがある

クリスチャンだったっけ? と携帯を手に取り、後続の邪魔にならないよう脇に寄る

答え、あれは神門といい、あれは建てた人の趣味らしい

威光と書かれていたけれど武将の威光かあ、程度だ

そのままホームページを見てから参拝した

拝殿にある天井絵、優曇華、三千年に一回しか咲かない花

架空の花、夢みたいだ。少し心躍る設定に溜息をついた

夢、夢ならよかったのかもしれない

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