第17話

よしっ! この方法が行けるどうかは分からないけど、やって見るしかないっ!!


ドーゼムの身体狙いを定めてJERICHO941PSLのトリガーを連続して引いて発砲するが、甲高い音と火花を散らせるだけで効いているようすが全くないが撃ち続ける。


「無駄だと言う事が、分からんのかぁぁぁああああああっっっ!!?」


そう言いながら左肩を前に出しながら突進してくるドーゼムをかわすと、身体を狙い発砲し続けながら距離を取る。


「グッ!? 小娘がぁ〜! ハァ、ハァ〜・・・・・・ちょこまかとぉぉぉおおおおおおっっっ!!!?」


悔しそうな顔をしながらこっちを向いてくるドーゼムの顔に弾丸を一発叩き込む。するとドーゼムはひるんだのか顔を手で押さえながら首を左右に振る。


やっぱりそうか・・・・・・これなら行けるかもしれない。


そう思いながら、ERICHO941PSLをリロードしてからすぐにドーゼムの身体に撃ち込む。


「効かないのが、分からんかぁぁぁああああああっっっ!!?」


今度は右手の籠手こてを剣の形に変えると距離を詰めて剣を振るってくるが、躱して真後ろに回ってから背中に向けてJERICHO941PSLを三発撃ち込む。


「グ、グオッ!? ウガァァァアアアッッッ!!?」


叫びと共に振り向きながら剣を横凪ぎに振って来るが、避けてから後ろに下がりドーゼムと距離を取る。


「ウォォォオオオォォォオオオオオオオッッッ!!?」


ドーゼムは両手を合わせて上に掲げると先ほど見た影の大剣を作り上げ、剣先を俺に向けて来る。


「キサマはぁ~・・・・・・ハァ〜・・・・・・ハァ〜・・・・・・この堅牢けんろうな、ハァ〜・・・・・・ハァ〜・・・・・・鎧を・・・・・・その様な武器で貫く事が、ハァ〜・・・・・・出来ると、ハァ〜・・・・・・ハァ〜・・・・・・思っているのか?」


そう聞いて来るドーゼムに対して、無言で顔面に弾丸を叩き込むとリロードしてから、顔を手で押さえながらうずくまるドーゼムの姿を見つめながら答える。


「聞いて答える相手だと思っているの?」


「・・・・・・殺すっ!?」


その言葉を言った瞬間、こちらに走って来て大剣を振り下ろして来るので、その攻撃を躱してから距離を取りドーゼムの身体を狙い弾丸を叩き込む。


「アッ・・・・・・ガァッ!?」


今度は影を槍の形にして勢い良く伸ばして来る。その攻撃も躱して、またドーゼムの身体を狙い撃つと身体をよろめかせてる。


「ヌグッ!? ウォォォオオオオオオッッッ!!?」


兜で顔が隠れていて分からないが怒りを感じ取れる気迫を俺に向けながら、近づいて来て拳を振り回してくるのでそれを躱し続けていく。


「このっ!?」


そう言いながら大振りの右ストレートをくり出してくるので、姿勢を低くして躱してドーゼムの懐に入り込むと、掌底打ちを顎下あごした食らわせる。そして、よろめいている隙に距離を取る。


「ッツゥ!? ・・・・・・こ、ッ!?」


拳を構えてこちらに向かって来ようと走り出した瞬間に、体をふらつかせながら床に膝を着いてしまった。


「なぜだ? ・・・・・・なぜ身体が動かないんだっ!? [パァンッ!?]グアッ!?」


ドーゼムは撃たれた箇所を見て愕然がくぜんとした。何故なら自身が作った最強の鎧に小さな穴が空いていて、そこから血が流れ出しているのだから。


「やっと攻撃が通るようになった」


「な・・・・・・まさか、キサマはこれを狙ってたのかっ!?」


ドーゼムはそう言いながら立ち上がるが、手で押せば倒れそうなぐらいに足元が覚束おぼつかない。


「そう、私はこれを狙っていたんだ」


俺がJERICHO941PSLでドーゼムの顔を撃った時に気づいた。もしかしたらあの影で作った鎧を維持する為に魔力を注ぎ続けているんじゃないか? って。


「こ、このっ[パァンッ!?] ア、ガァッ!?」


右手を差し出してくるので躊躇ちゅうちょなく撃ち抜く。


「それともう一つ、アナタが犯したミスがある」


「ミス? もう 一つもだと?」


「遠距離攻撃をする時、アナタは右手を使ってましたよね? 今の状態のアナタは利き手じゃない左手で影をあやつって私の身体を貫く事が出来ますか?」


ドーゼムと俺との距離は約十三メートルもある上に魔力が枯渇こかつしている状態だ。


「ハァ〜・・・・・・ハァ〜・・・・・・小娘風情がぁ~っ!?」


この状況で左手をかざして来ないって事は、離れている俺に対して攻撃する事が出来なみたいだな。


「色々と話して貰いますよ」


「話して貰う? ・・・・・・なにをですか?」


「アナタは何者で、なんの目的で為にこんな事をしているのか? を」


「・・・・・・フフッ、フハハハハハッ!? アー、ハッハッハッハッッッ!!!?」


ドーゼムは突然笑い出しながら鎧を霧散させると、もう敵意はないようすを見せながらその場に座り込んだ。

そのようすを見た俺は、 敵マークは消えたけど、アイツに近づくのは危険かもしれない。 と思いながらドーゼムから更に距離を取る。


「良いでしょう、ハァ〜・・・・・・ハァ〜・・・・・・私の負けですから、ハァ〜・・・・・・ハァ〜・・・・・・話して・・・・・・差し上げ、ます」


本当に危害を加える気がないのか? いや、ピーチさんの方に加えようとしてるのかもしれないから、注意し続けよう。


JERICHO941PSLをドーゼムに構えたまま話しを聞く。


「私の名はドーゼム。影を自在に操る能力を、ハァ〜・・・・・・ハァ〜・・・・・・彼の方から授かった者だ」


「彼の方?」


「フフフッ、ゴホッ!? ゴホッ!? あの方を知らないとは、ハァ、ハァ、世間知らずなお嬢さんですね」


悪かったな。この前転生したばかりで、ほとんど常識を取り入れてないんだ。総合ギルドに図書館があったら通い詰めてるわっ!!

てかドーゼムさんの息が整って来ているな。まぁ休憩しているようなもんだから、息が整うのは当たり前か。


などと心の中で思いつつ話を聞き続ける。


われら魔人は、はぁ、はぁ、キサマら人間が女神をあがめるように、我々も彼の方を崇めるのだ。ハァ、ハァ」


コイツが言っている彼の方って、もしかして女神なのか?


「我々魔人は元々はキサマらか弱き人間だった・・・・・・しかし彼の方を崇め、あの方の力になると誓えば、人間を越えた力を与えて頂けるのだっ!!」


んん? 女神じゃなくて邪神なのか?


「彼の方の、否! 我々の目的は・・・・・・」


こちらに目を見開き頬を吊り上げると、俺達に向かって声を張り上げながら言い始める。


「キサマら人間の滅亡! そして全てを超越した者になるのが、彼の方の夢っ!! 彼の方には創成主をさえも越えて、、この世界の真の神になって頂く事だっ!!! フハハハハハ・・・・アーッハッハッハッハッハッ!!?」


言ってる事の大半が理解出来ないが、ソイツが世界征服を企んでいる事と脳ミソが腐っているだけ連中の集まりがいる。って事だけは分かった。


「創成主を越えるぅ~? なにを言ってるのよぉ~っ!! 創成主ガイラス様に人が会えるわけがないじゃないのよぉ~っ!! 創成主様は女神様達の頂点に立つ者で人が会う事自体が出来ないし許されない。って言われているんだからぁ~っ!!?」


ガイラス? そう言えばこの世界の名前でもあったよな。この世界の神様は自分の世界に自分の名前をつけるなんて恥ずかしいと思わないのか?


「・・・・・・フッ、フッ、フッ。彼の方なら可能らしい。ご自身でそう仰ってましたから」


本人が魔人達に話したぁ? もう、ソイツが何者なのか分からなくなってきた。この際はっきり言おう。


「あのさ、その人って、うわっ!?」


俺が話を切り出している最中に突然部屋の中に煙充満する。


クソッ! 毒ガスかっ!!?


そう思いながらそでを口に当てる。


「ライナちゅぁん、無事かしらぁ~!?」


「こっちは大丈夫です!」


ん? この煙・・・・・・毒ガスじゃなくて煙幕だ。あっ!?


煙が充満している部屋の中で二つの影が遠ざかって行くのが見えた。


しまった! 下の階に逃げるつもりかっ!?


「ちょっ! 待てっ!!?」


「え! 一体なにしてるのライナちゅぁ〜んっ!!? 勝手に動いたらダメよぉ~っ!!!」


そんなの聞いている暇はない。ここで追わなきゃ逃げられるっ!!


そう思いながら後を追うと下へ続く階段にたどり着く。


「ピーチさん! 中央にある階段に来て下さいっ!!」


「中央って、煙でなにも見えないから分からないわよぉ~っ!!」


ピーチさんは動けないか。


「先に下の階に降りて確認して見ます!」


「なにを言ってるのよ! 危ないわよぉ~っ!!?」


「確認だけです!」


そう言いいながらプレートキャリアにぶら下げているM84フラッシュバンを取り出して安全ピンを抜くと、下の階へ投げるのと同時に身を隠す。

そして、 バンッ!? と言うような爆発音がした瞬間にJERICHO941PSLを構えながら下の階に降りると危険がないかクリアリングをしながらドーゼムを探したのだが、どこにも見当たらない。


「・・・・・・逃げられた」


ドーゼムは逃げる為にわざと鎧を消した上に、話をして自分に注目させてる間にドーゼムの仲間に逃げ道の準備させてたのか。

いや・・・・・・それだとおかしいな。もし俺がドーゼムの仲間だったら俺とピーチさんが来たところで手助けしに行くし、なによりも煙幕を使って逃げるぐらいならドーゼムに注目している隙を狙って殺してる・・・・・・それにそんな事しようとしたら俺がすぐに気づく。


「・・・・・・ん?」


通路の手前に絵が書かれていたので気になったので近づいて確かめてみる。


「絵と言うより、ラノベとかマンガで見た魔方陣みたいだね」


触れたりしたらヤバいかもしれないから触らないでいよう。


「ライナちゅぁ~~~んっ!!? 見つけたわよぉ~っ!!」


「あっ! ピーチさん」


「あっ! じゃないわよぉ~! 本当に心配したわよぉ~~~っ!!?」


うわぁ~、ピーチさん怒ってるよ。しかも顔がエイミーさんより怖い。


「す、すみません! もう二度とこんな事はしませんっ!!」


「分かってくれれば良いのよぉ~! それよりも、ドーゼムちゅぁん達に逃げられたのねぇ~」


「・・・・・・はい。それと、ピーチさんはこの床に書いている魔方陣がなんだか分かりますか?」


「え? どれ・・・・・・ッ!?」


ピーチさんは顔色を変えて、いきなり俺の身体を引っ張りだした。


「いきなりなにをするんですか?」


「間違ってもその魔法陣に触れちゃダメよぉ~。トラップ型の魔法陣だから、なにが起こるか分からないわよぉ~」


トラップ型の魔法陣。あらかじめ地面や壁に魔法陣を書いて設置させる物で、人やモンスターが踏んだり触れたりすると魔法が発動するようになっている。って魔法入門書に書いてあったね。


「トラップ型の魔法陣って・・・・・・相当な腕を持った魔術師がドーゼムの仲間にいるんですね」


そう、普通の魔法陣なら書ける人は多いがトラップ型の魔方陣になると使う魔法に魔法陣によって大きさを変えなければいけない。

それに加えて魔法陣に触れた時に発動するように文字を書き足さなきゃいけない上に、不具合がないように魔法陣を調整をしなければならないので、高度な技術を有する魔術師でないと扱う事は出来ない。


「ライナちゅぁん、追っても無駄そうだからぁ~、入り口まで戻りましょうかぁ~?」


「・・・・・・そうですね。戻りましょうか」


不甲斐ない。そう思いながら振り向くと勇者達三人がそこで立っていて、その中の一人が俺の目の前まで歩いて来た。


「・・・・・・なんでドーゼムを追わないんですか?」


「・・・・・・え?」


お礼にを言いに来たと思ったら違った。


「ドーゼムを見失みうしなったからです。それに私達の目的はアナタ達を助ける事だからですよ。さぁ、地上に戻りましょうか」


「もしかしたらアナタ達がいればドーゼムに勝てるかもしれません。追いかけましょう!」


「・・・・・・私は逃げられた時にドーゼムの他に仲間が一人いたのを見ました。魔人二人を相手にして勝てる見込みがあるんですか? ないのならこの先に行かせませんよ」


俺が睨みながら言うが目の前の勇者は引くようすを見せない。


「でもドーゼムはあんな状態ですから、先にドーゼムを倒してからもう一人の方を倒せば勝てるんじゃないでしょうか? だから追いかけて倒しましょう!」


コイツしつこいな。助けて貰ってんのにそう言うのかよ。


「大輝、止めよう。私たち達は助けて貰ってるんだから、この人達に指示したり提案する権利はないわ」


「でも美海・・・・・・あそこまで追い詰めておいて逃がすなんて」


「大輝、追いついてドーゼムと戦う事になっても、今の私達はただの荷物だよ。役立たずが側にいて良いと思う?」


「伊織・・・・・・それは確かにそうだけどぉ・・・・・・」


オドオドしながら答えている途中に俺が割って入る。


「さっき言ってたようにもう見失ってるし、この先は罠だらけにされてるかもしれない。いちいち罠を見つけては解除をしながら通るのは時間がかかる。それは分かりますよね?」


「え、ええ・・・・・・分かります」


「罠で時間稼ぎしている間に転移魔法陣を書いて逃げるか、疲れている所を狙って奇襲を掛けてくるかの二つ可能が高いですよ。その可能性を知った上で追いかけた方が良い?」


彼はいきなり下を向ちて黙り混む。


「・・・・・・大輝」


「よく考えて、大輝」


「・・・・・・俺の考えが甘かったみたいです。生意気な事を言ってすみませんでした」


謝罪と共に頭を下げてくるので感心するな。クラスメイトのアイツらもこう言う事が出来れば良いのに。


そう思っているとピーチさんが俺の目の前に立って話し始める。


「分かれば良いのよぉ~! さぁ、勇者ちゃぁん顔を上げて、ここから出ましょう。ち・な・み・にぃ〜、急いでここまで来たから倒したモンスターを道端に放置してるのよぉ~。だから死体回収もしたいから歩いて行くわよぉ~!?」


「・・・・・・はい」


大輝と言う少年が顔を上げたのを確認すると、ダンジョンの入り口を目指して歩き始める。


あの時さっさと殺していれば逃げられる事はなかったはずなのに、悔しいなぁ・・・・・・次見かけた時は絶対仕留める。


彼女は歩きながら心の中でそう誓うのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る