世界の敵の依頼掲示板

冒険者とは人を助けるヒーローだと素朴に思う。何でも屋だと揶揄されることが多いけど総合的に考えて人を助けることに行き着くのだ。誰に対しても助けに応じた報酬を受けとるという口実で絶対の正義を確約する義務。それこそが普遍的な善は存在しないという法則の意味。あらゆる人間的繋がりに先行して心という構築物を保証し人を助けるという形式を言い訳に使わずに友情や家族や祖国や利害関係や法律や歴史や運命や人類の生存や自然法則を当たり前のように裏切り敵に回し粉砕するヒーロー。他者を思いやる気持ちを絶対に廃絶する不確定な未来の殲滅者。神や悪人や腐敗や対人的配慮や自由参加の寛容を踏みにじり信仰を歪曲した光の粗野な緋色に見いだす虐殺の僣主。私もそんなヒーローに変身したかった。でも私は間違っていたんだと思う。人間を助けられるということの意味がわからない言葉の強さが信念を根こそぎに根絶し出会いの虫酸が走るような没入体験を容赦なく真の思いやりとして表現する自由こそ壊変しなければならない物語だったのだ。傷つけられた他人のために働く充実性の世界的な広がりに金銭の想像的独自性という付加価値を発見する可能性の消費が機械の動力源たる物理的エネルギーとして存在するという神話を人間の神に対する効率性として自然に変型された美意識を象徴させる欲望の記憶。そこに不合理な社会の抑圧を読解してしまう自意識の数学式が認識の代数学によって所有された禁止をあたかも闘争の流れである生命の衝突に類似させる意志が溶岩流の凝固した年代記として座り込み説教を始める。でもゴメンね。民主主義と学校を跡形も残さず葬り去るっていうのは子供の頃に唯一抱けた夢だからあの日の放課後にぶらぶらした読書気分の名残なんだ。だから夜の神社に忍び込んで血に汚れた硬貨の投げ込む音に肯定された太陽の傲慢さの虚無感にも関わらず近視眼的な願い事を神々に恥じて後悔しているわけではない。核兵器と妹と重力の音楽の三位一体を装填された銃殺として召喚できるようにしてくれたからね。

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