嬰児のくちぶえ

寂しいお前は泣いているのか


お前の唄を誰が聴く



今日の幸福を掃き捨てて


哀しみの何たるかをしらぬ者どもが


お前の不幸を嗤うだろう



産まれる前に願ったろうか


母に抱かれて眠ることを


父に護られ育つことを


兄弟たちと遊び学ぶことを



あなたと同じ月日を辿ることを


産まれる前に願ったろうか


願っていれば 手に入ったか



嬰児よ唄え 産まれ落ちる前に


嬰児よ唄え この世の幸福を乞い願う唄を


嬰児よ唄え 誰もが忘れてしまった唄を



羊水に浮かぶくじらのように


海を響かすくじらのように

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