アルベルト・バーンシュタインその8:アルベルト、王様になる

第1話 アルベルト王、悩む

 よう、俺だ、アルベルトだ。

 ついこの間、俺は麻酔なしで両腕をぶった切られるっつう外科手術、別名拷問を受けたんだがなんとか精神崩壊せずに済んだ。

 その後、ユラのクソガキの尻を真っ赤になるまでぶっ叩いてやった。あいつのケツより俺の手の方が痛いんじゃねえかってぐらいな。「助かったんだからいいじゃないですか」とかほざきやがってあのガキ。

 まぁその話はいいや。面白くもなんともねえしな……。


 で、今、俺が何してるかっつうと、玉座に座りながら国の内政における問題点を臣下から聞いてるところだ。

 なんでも最近、食料の高騰が激しくって国民が辛そうなんだとよ。なんとかしてやんねえとな。


「補助金出してやったらどうだ」

「はっ。恐れながら国庫の備蓄も厳しく、効果が出るほどの資金援助は難しいのが現状でございます」

「そうは言ったって国だろ。国民が飢えてるんじゃ話にならねえじゃねえか。こういうときのための備蓄だろーが」

「それが周辺諸国の動きが怪しく、防衛費に予算を割かねばならない、と将軍からの申し出もありまして」


 うーんと唸りながら顎に手を当てる。食料事情は重要だが他国に侵略されてちゃ元も子もねえな。


「外交とかでなんとかならねえのか」

「相手は蛮族でして。交渉の通じる相手ではありません」

「友好国からの支援は?」

「あちらはあちらで多数の問題を抱えており、支援は見込めません。要請はしているのですが」


 もう一回唸る。どうやら自国に問題があるっつうよりここら一帯の地域に問題が生じてて、その煽りを喰らってる感じだ。

 どうしたものかと俺は考える。隣に座ってる王妃に目を向けても、難しい顔をしていた。

 誰がどう見たってかなりやべえ状態だ。早めに手を打たなきゃならねえ……って。


「なんで俺が馬鹿正直に王様なんかやらなきゃならねえんだよっ!!」


 怒りの拳を手すりに叩きつける俺を見て、王妃も臣下も“今更そんなこと言われたって”という顔をしていやがった。ふざけやがって。

 ああ、そうだ。俺が王様なんて馬鹿げたことやってるのには理由がある。そいつをこれから話してやるよ。

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