第6話 ときには諦めも肝心
「案外、強い相手に狙われていたようですね」
「申し訳ありません、先生」
ショタ魔術師が防護魔法で6号の攻撃を防いでいた。信じられねえ。魔術攻撃ならともかく物理攻撃だぞ。部分的とはいえこれだけの質量を受け止められるだけの魔力を、あの魔術師は持ってるっていうのか。
一瞬だけ考えて……俺は召喚物全部を本に戻した。もう無理だ。絶対に勝てねえ。俺は地面に大の字になって寝転ぶ。「は?」みたいな視線を感じるが全て無視。用意してた言葉を叫ぶために息を大きく吸い込む。
「殺すなら殺せぇえええええええええええええ!! こんな化け物どもの相手なんかしてられっかよ! 誰だよこの女に狙いを決めたのはそうだよ俺だよ文句あっか文句しかねえわこのクソボケが!! 大体なんだよその馬鹿みてえに強い先生は!! そのでけえ乳とかで見つけたのかあーそうかよそりゃ幸運なこって!!」
俺はもうヤケクソになって思いの丈を全て吐き出すことにした。しょうがねえだろ勝てねえんだから。
「こちとら1発ヤレればそれで十分だってのに馬鹿みてえに強い武器と防具まで用意しやがって!! 高次元生命体だぞ低次元に住んでるお前らがそんな簡単にほいほい壊していいもんじゃねえだろうが普通はよ!! 4号が可哀想だとは思わねえのかこの人でなしどもが!!」
「え……この人、私の身体目的だったんですか……こんなに強い召喚獣使役してるのに……?」
「えぇ……」
呆れた声が聞こえる気がするが無視。全部無視無視無視無視!! 無視!!
走ってくる音も聞こえる。多分ユラだろ。地面を擦るような音もした。多分土下座してるんだろ。
「ごめんなさい!! アルベルトさん馬鹿でどうしようもない人なんですけど悪気もあるんですけど良いところとか1つもないんですけど、それでも命だけは助けてあげてください!!」
こいつ死ぬほど命乞い下手だな。事実を言ってどうする。
俺は駄々をこねるように喚いてるしユラはそんな俺を庇ってぺこぺこ土下座してるし相手からすると地獄絵図だろう。お前らが起こした状況なんだからお前らで処理しろ。俺は知らねえ。
「うーん、どうしましょう」
「なんだか可哀想になってきましたが、使役しているものがものですからねえ。あんまり悪事を働かれても……」
「僕がちゃんと説得しますからお願いします!!」
「殺すなら殺せぇ!!」
うんうん唸る声を掻き消すように俺はじたばたと両手足をばたつかせる。もう作戦とかそういうのじゃねえ。こんなクソみたいなハズレクジ引かされたらヤケにもなる。
「では悪い人には罰を与えるということで、今回は手打ちにしましょう」
ショタがそう言って指を鳴らす。鳴りやがった。するとばたついていた俺の両手足が勝手に閉じてなんか鎖でぐるぐる巻きにされた。
「ちゃんと反省するように」
鎧姿の女が俺を見下ろしながらそう言った。ユラが「ありがとうございます!」とお礼を言う。
そんでもってショタ魔術師とその弟子は立ち去っていった。おわり。
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