第5話 たった一つの取り柄が!
小屋の外に出る。周辺には何も残っていなかった。
いくつかあった木造の小屋は全て消滅。水を溜めていた樽や畑の作物など、何もかもがなくなっていた。
十数体はいたはずのオークも一体たりともいない。それどころか死体さえ残っていなかった。
オークの村はすっかり森林に囲まれたただの広場と化していた。
「綺麗になったなぁ」
しみじみと俺は言う。大きく息を吸い込み、
「ざまぁみろぉおおおおおおおおおおっ!!」
力の限り叫んだ。すっきり。
小屋から恐る恐るヒナタが出てくる。
「い、一体何が……って……えっ」
周囲に何もないことを驚き、それから徐々に視線が上がっていく。
ヒナタの視線の先には巨大な漆黒の山脈が聳え立っていた。垂直に切り立つ岩壁が鳴動して上昇。僅かに移動してから落下して大きな地鳴りを引き起こした。
振動に耐え切れなかったヒナタが尻餅をつく。空は全てを覆うほどの広大な薄膜がかかり、山脈の頂上からさらに伸びる尖塔の如き岩の連なりがねじ曲がる。
尖塔の先端には窪み。赤黒い宝石が嵌められていた。縦に亀裂の入った宝石はヒナタを見つめていた。
「あ、ごめんね。踏んでない?」
「6号、でかいんだから気をつけろって」
危うくヒナタを踏みそうになった6号は軽い調子で「ごめんねー」と言っていた。
全く、俺の獲物なんだから気をつけてほしいぜ。
1号や2号なんかもそのへんでうろちょろしていた。花は6号の影のおかげで日が当たらず気分が良さそうだ。4号と霧は見当たらない。どっかそのへんを飛んでるんだろう。
いい機会だから散歩させておいてやろう。こいつらを全部外に出す機会はそんなにないからな。
「こ、これ、な、な、なんなん、ですか」
ヒナタは真っ青になっていた。説明してやらねえと。
「全部俺の召喚物だ、危害は加えねえから安心しろって」
「ぜ、全部? こ、これ全部ですか?」
驚いた顔してやがる。召喚師の扱える召喚物の数は能力に比例する。こんなわけの分からねえのを合計で六体。それも一体は山並みにでかいときたらそりゃたいていは驚く。
もっとも、こいつらは自分の意思で俺に付き従っているので、俺が凄いわけじゃない。言わないでおくが。
それにそんなことはどうだっていい。
「お散歩行ってもいい?」
「おーおー、いいぞ」
「わーい」
6号が羽ばたく。羽ばたくといってもこの巨体だ。それだけで爆風が吹き荒れて1号と2号と2号の子機と花と俺とヒナタが吹き飛ばされる。良くなかった!
「いてて……」
「な、なんなんですかもう」
持っていた布も吹き飛ばされてヒナタの裸体が露わとなる。それで俺の我慢は完全に限界を突破した。
にじり寄る俺にヒナタがジト目を向けてくる。
「な、なんですか」
「うるせえ、俺の目的はお前なんだよ」
俺の暴露にヒナタは慌てる。
「ちょ、ちょっと待ってください……!」
「うるせえ俺がどれだけ待ったと思ってやがるもう待たねえぞ!!」
「きゃあっ!」
俺はヒナタに飛びかかって押し倒してやる。両腕を掴んで地面に押し付ける。
俺の目の前に待ちに待った女の身体が無防備に晒されていた。たまんねえぜ。
「やめ、やめてくださ、あっ」
胸に吸い付いてやると簡単に甲高い声があがった。花とかに頼る必要もなさそうだ。
「へへへ、散々我慢したんだ、たっぷり楽しませてもらうぜ」
胸を揉みしだき、腹を撫でて太腿をさする。ヒナタの全身を堪能してから俺は下半身の服を脱ぎ捨てる。
しっかりとヒナタの腰を掴んで自分の腰を押し進める。ついにこの瞬間がきた!
気持ち良さと興奮で感動する俺に、ヒナタの声が割って入ってきた。
「あれ、小さい……」
──俺は目の前が真っ暗になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます