第9話 今回の結末

 その後、俺は路地裏を全力疾走していた。

 何故かって? それはだな──。


「待てぇーっ!!」


 男の声が聞こえた。俺の後ろから凄まじい速度で警官が追いかけてきていた。

 どうやらリズとリーシャはこの街に知り合いがいて、いなくなったことを不審に思ったそいつが通報しやがったらしい。俺と二人がいたところを目撃してた奴がいたっていうんで、絶賛俺は警官と追いかけっこの真っ最中だ。

 ついてねえぜ。


 因みに俺の罪状は二名の誘拐、もしくは殺害ってことになってる。リズを襲わせた男どもは操って自主的に移動したように見せかけていたので罪状に入っていない。

 ……え? 殺したのは三人だろって?

 その通り。俺はキョウスケも殺したから本当に殺したのは三人だ。でも罪状は二人だ。何でだと思う?


 理由は簡単だ。誰も気づいてないからだ。

 何せ、初めからこの世界にいない奴だ。いなくなったところで誰も気づかないし誰も困らない。

 だから殺したって殆どバレやしない。腹いせに殺す相手にはオススメだぜ。


「止まりなさーい!!」


 今度は女の声だ。婦警まで一緒になって追いかけてきていた。背後にいるのは男の警官と婦警の二人だけだ。

 男と女の組みか。ちょっと遊ぶにはちょうど良さそうじゃねえか。ケケケ。


 そういうわけだから俺は忙しいんだ。そろそろ追いつかれそうだしな。

 じゃ、またな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る