第9話 結末

「では、こちらが報酬になります」


 クエストカウンターの受付嬢が金を机に置く。中々の額だ。


「これでしばらくは持つな」

「無駄遣いさえしなければ、ね」


 1号が余計なことを言うが無視。たまには俺の気分が良くなることを言ってほしいもんだ。


「わっちは肉が食いたいぞ」「私、受粉したいです」「吾輩は疲れた」「もっとあの石が食いたい」「今回何もしてなーい!!」

「うるせえ!!」


 各々が好き勝手に喋ってきやがる。うるさいので魔道書の中に全員を押し戻す。これで静かになった。


「よし、酒でも飲むか」


 クエストカウンターから出て、夕日が照らす街中へと俺は繰り出す。今日もいい仕事だった。


 ──え? その後、どうなったかって?

 美味い酒飲んで、風俗の姉ちゃんと遊んで、終わりだよ。それだけだ。大団円ってやつだな。

 警察が来たり、殺した女の仲間が復讐に来たりして俺がぶっ殺される、なんてことはないな。俺がハッピーになって、それでおしまい。

 そりゃあそうだろ? 世の中、悪いやつがいちいち罰を受けるなんて、そんな都合のいいことねえよ。

 納得いかないって? クズ野郎に付き合ってもらうって言っただろ。悪いな、ケケケ。

 じゃ、またな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る