また始まった

あいつはまた泣き出した。これで何回目になるのだろう。自分から約束しておいて、自分から破る。時間より早く来るのは、返さないつもりの金を借りる時だけだ。

いい加減、俺はいつになったら関係を切る決心がつくのだろう。まったく自分にもあきれてしまう。

そう思ってまた許しかけた。

しかし、しかしだ。もう俺は許しはしない。

あの日あいつは泣いて金が返せないっていった後、こっそり酒場で酒をくらいながら俺を肴に笑ったらしい。

話を聞いた瞬間、俺の中で何か消えた。

今から思えば、そんな話で俺を焚き付ける連中も大概なものだ。



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