Op.14 謁見要請
アルテシア王国の王城へと続く大通りを、使者を表す信号旗を掲げたシュタール連邦共和国の主力
寸時を挿み、自軍のクエルクスロブルが両脇を固める大通りの中央を、ライドの乗る
大通り周辺の城壁上には、アルテシア王国軍の
「仕掛けてきませんね」
「良く教育されているのだろうさ。自らの指にかかる引き金の重さを」
城門が開かれ、ライドたちは王城内に招き入れられた。
会議場に案内されたライドは、カムラに向けて、女神への謁見を希望していることを告げた。対して、目の前に座る男が、女神の殺害さえも選択肢の一つとしていることを察したカムラは、その申し出を断る。
「自国の脅威となるかもしれないものを、放置しておくわけにはまいりません。安全が担保できないのであれば、相応の対応をさせていただくまでです」
女神への謁見を拒否したカムラに向けて、ライドは警告した。
「……軍事力の行使をも辞さないと?」
「私は軍人ですが、文明人の一人であることも自負しています。可能な限り野蛮な行為は避けたい。ただ――」
ライドは立ち上がり、窓際に向かう。
「越境からの三日間、不眠不休の行軍でしたから、私の部下たちも疲労しております。思わぬミスを犯してしまうかもしれません」
ライドの言葉に呼応するかのように、一樹のクエルクスロブルが、片手で支持していた銃槍を取り落とした。直下には民家があり、その民家は銃槍の直撃を受けて倒壊した。
「貴公……!」
「疲れているのは一人だけではありません。早く任務を終えて、休ませてやりたいものです」
カムラとライドは、憤怒の視線と不敵な笑みをぶつけ合った。
◆
一方、その状況を目の当たりにしたミコトは、ケテルを通じてクエルクスロブルを操作しようと試みた。しかし、クエルクスロブルに指先を重ねても、赤く縁取られるだけでメニューウィンドウは表示されない。
「反応しない……遠すぎる……?」
ミコトは、歩み寄って来たシタンに「シュタールの
「策があるのか?」
シタンの問いに、ミコトは頷いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます