第182話 英雄に憧れる2人の子供 02



「どろぼう~」 っと叫ぶ男の声が


小さな男の子が手に2つのリンゴも持って走って逃げていく 


ヒナタが「ショウ 捕まえるわよ」 


「おう 行くぞ ヒナタ」


ショウとヒナタは後を追いかける


リンゴを盗んだ男の子の足は速い



ショウとヒナタという子供の足はチーターのようにどんでもなく速くグングンと差を縮めていく


ショウが男の子の背中を捕まえようとした


その時


「うわっ あぶなっ」 ショウは飛んできた石を慌ててかわす


「ショウ 大丈夫」


「ああっ 大丈夫だが 逃げられた」


ショウとヒナタが飛んできた石の方向を見ると さっきの子供より小さな2人の子供が


ショウは2人を睨みながら「貴様ら さっきのやつの仲間だな」


2人の子供は首を横に振り そして 立ち去ろうと歩きだした


「待ちなさいよ あなたが石を投げたんでしょ」 ヒナタが2人の子供に叫ぶ



2人の子供は また首を横に振り立ち去ろうと歩きだした


「ムッ 無視するの 絶対に あの子の仲間でしょ」 ヒナタは2人の子供にかけより服を掴もうとする



2人の子供は素早く避けて 「知らない」っとひと言だけ呟き また 歩き始めた


「おい 俺は見てたんだからな 貴様が石を投げた」


2人の子供は立ち止まり 男の子が「僕知らない」っと 女の子が「嘘つき 本当に見ていたなら どっちが投げたのか言ってみなさい」っと


ショウは「うっ」っとたじろぎ 一歩下がる


ヒナタが「まったく 年下の子にビビッてどうするのよ 2人のどちらかが投げたんでしょ 絶対に間違いないんだから どっちでもいいでしょ」


弟のショウは6歳 姉のヒナタは7歳だが 2人の子供は更に年下のように見える


「そうだ どっちかが投げたのは間違いがない」


女の子が「やっぱり見てなかったのね 嘘つき クズ 悪党」っと


男の子も「嘘はいけないんだよ」っと


ショウは「うっ」っと また1歩下がる


「はぁ~ 何言ってるのよ 石を投げつける方が悪党でしょ それに 盗人の仲間なんでしょ」 ヒナタは2人の子供を睨みながらショウの前に出る


ショウは「そうだ そうだ」っと叫び アイテムボックスから鉄の剣を取り出し2人の子供に剣先を向けた


「ショウは強いわよ 謝るなら今の内なんだからね」っといい ヒナタも鉄の剣を取り出し構えた


女の子が冷めた言い方で「剣を人に向けるとどうなるのか知っているの 殺されても文句は言えなくなるよ」っと ショウとヒナタに向かって坦々と言う


男の子が「リディ ダメだよ 弱い者イジメはいけないよ 相手は子供なんだから」


リディは「そうね ありがとう アデル 行こうか」


アデルは「うん」っと言って アデルとリディは歩き出した


呆然として聞いていたヒナタが 我に返り「ちょっと 待ちなさいよ 誰が 子供よ あなた達の方が子供でしょ それに私達は強いのよ」


リディは振り返り「強い者や大人は むやみに剣を抜いたりしない」っと言って また歩きだした


「ムッ ショウ あなたからも何かいいなさいよ」


「えっ でも パパも剣をむやみに人に向けるなって」


「もう 悪党に剣を向けても問題ないのよ」


「でも 石を投げるのを見てないし 本当にあの泥棒の仲間なのか分からないよ」っとショウは下を向く


「もう いいわ 私がやる そうよ 木剣なら問題ないでしょ 生意気な子供には おしおきをしないとね」ヒナタは鉄剣をアイテムボックスに収納して 木剣を2本取り出した


そして 走って2人をおいかけ 「ほら 受け取りなさい どっちでもいいから 勝負よ 負けたほうが謝るのよ」


アデルが「女の子をいじめるのはよくないから」っと リディが「じゃあ 謝ってくれるのね」っと 木剣を受け取る


「ふっふっ 私はヒナタ 7歳 あなたは何歳なの」


「私は5歳 実力はヒナタより ずっと上」リディは坦々と言う


「ムッ やっぱり年下ね 手加減してやるからかかってきなさい」


っとヒナタが言った瞬間 リディの木剣の先端がピタリと ヒナタの首に


「えっ」 ヒナタは驚き そして へなへなっと倒れこむ


ヒナタには 剣の動きがまったく見えていなかった ひなたは自分が大人よりも強いと思っていたのに まさか年下の女の子に負けるなんて


「ヒナタ 大丈夫か 貴様 俺が相手だ」 ショウが叫ぶ


「男なら 僕が相手をする」 っとアデルが前に


「ふん 俺は6歳だぞ 貴様は何歳だ」


「5歳」


「泣いても知らないからな」 ショウがアデルに木剣を向けると


「大丈夫 僕は負けないから」 とアデルが言う


「ムッ 行くぞ」 っとショウが木剣を振り上げると


「なっ」 ショウは驚く 目の前にいたアデルがいないのだ


そして ショウの首横にぴたりと当たる木剣


「うっ どうして」 ショウは戸惑いながら 自分の首に木剣を当てているアデルのほうを向く


リディ「さあ 2人とも謝って」


「ムッ」 っとショウが 「そんな」 っとヒナタが


アデル「リディ 弱い者イジメはダメだってママ達が言っているだろ 行くよ」


「そうね」っと言って アデルとリディは立ち去っていく


ショウとヒナタは2人の姿が見えなくなるまで呆然とその場で見ているしか出来なかった


・・・

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