夢の夢の…
朝起きるとある悪夢を思い出した。
あぁ、やっと目覚めることができたのだ。
開放感と安心感が広がる。
俺はさっきまでどこかで聞いたことがあるような最悪な夢の世界にいた。
夢の中で起きると俺はいつものように会社へと向かう。
いつもと違うことはただ一つ
人一人見かけないことだ。
なのにまるで人がいるかのように世界が動いている。
静まり返った駅のホーム。
誰もいないオフィス。
うるさい上司がいないのだけはうれしかったが家族のいない家に帰ってもただむなしさが胸に広がるだけだった。
そして俺は眠りにつく寸前で目が覚める。
という夢を何度も見たのだ。
なぜこのループから抜け出したと分かったのか。
それは子供の声が聞こえたからだ。
もうそろそろアラームが鳴るころだろう。
俺は起き上がり、奥さんが用意してくれた朝ご飯を口へ運ぶ。
はずだった。
「あなたー、会社行く時間じゃないの~?」
「うん? まさか・・・」
遠くから声が聞こえる。
俺はあたりを見回した。目の前には天井の景色が広がっている。
そして横には布団と気持ちよさそうに眠っている子供の姿が。
あれ? さっきまで俺はループから解放されてご飯を食べている途中じゃ…。
「っていう夢を見てたんですよ。だから許してください」
「何言ってんだ! 君はどこまで屁理屈を続けるつもりか。今日も遅刻しおって」
本当の悪夢がどれだったのか忘れてしまった。
今俺の目の前にあるのはうるさい上司と忙しそうに働く人々の姿だった。
最初の夢がよかったなぁ。
俺はもう一度悪夢を見たい。
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