お題「黒猫」

 そこのけ、そこのけ、黒猫様のお通りだ。

 不幸を振りまいて悲しい目に合わせてやろう。

 どうだい? ぼくを見ていると不快だろう?

 ……それなのにきみは何故、笑顔を向けるんだ。ぼくはこんなにも不幸だというのに。

 誰からも不幸の象徴だと言われて育って、幸せなど知らずに生きて、生きてきて。

 幸せだなんて。

 いまさらそんなもの、要らないよ。

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