メカ的な世界における謎動力

「それでいいんだよ…、たく、おいコックピットはどうだ、死体か遺品でもあれば楽に見せしめにできるんだが」

左右にいる人が墜落したロボットの胴体部分を調べる。

「ダメです、コックピットと思われる部分が融解してます」

「チッ、エネルギーの残量が心もとないな…、そこのお前ら、その(落し物)を運ぶ用意をするから見張ってておけ」

「隊長、いいんですか、どこの誰かも解らない物にそんな事を任せて…」

「仕方あるまい、上は3機で運用せよとお達しだ、例え少しでも離れて行動することはあとあと面倒になる、それならその2人に任せた方がまだマシだ、それに監視用の小型偵察機を付けておけばいいだろ」

「小型偵察機だけでいいのでは?」

「あれに戦闘力もないし証拠が残る、それに10分もあれば戻ってこられるから問題あるまい」

「隊長がそう言うのであれば…」

左右の部下は納得いかないようだが渋々隊長の指示に従いロボットに乗り込んだ。

隊長と呼ばれた人もロボットに乗り込む、隊長のロボットの背中から1メートルほどの物が射出されプロペラが展開される。

小型の偵察機とかドローンとか初めて見たのでちょっと感激してしまった、そんな隙に突風と共にロボット3機が飛び去っていった。



「どうしよ…」

「このまま突っ立ってるだけでいいんじゃないかな、10分ほどで戻ってくるらしいし」

何もしない10分はとても退屈なのでサヨを弄ってみたが、無抵抗でなんかつまらなかったため、落ちてるロボットを観察する。


土の汚れとススで分かりずらいがおそらく灰色に近い水色がメインだろうか、さっきの3機のロボットは丸っこいパーツが多いが比較して目の前のロボットは直線が多い印象だ、どっかのロボットアニメの主役機のような鋭利さがある。

対してさっきの3機のロボットは敵側ロボットの量産型の印象がある…、といってもこの世界の主役機が目の前のロボットとは限らないしな…。

「危ない!」

サヨのシールドが目の前に現れ、鉄が弾けると小型偵察機が墜落する音が聞こえてくる。

「あなた達…、何者!?」

声の高さから女性か少年だろうか。

「通りすがりの転生者だ」

ネタに走ってしまったのはしょうがない、正直自分でも何者かなんて解らない…。

「ふざけないで!」

怒られてしまった、ようやく顔、というか声の主の全体が見えた、ギリ未成年の少女だろうか…。

「いやいや、ふざけてないよ、ガチの転生者だよ、いや転送者かな」

「もういいわ、私の相棒に何するつもりだったの!」

「何って…カッコイイなーと思って、後なんか丸っこいロボット3機の人が見てろって言われたから見てた」

「あなた達、あいつらの仲間なの?」

「え、違うけど10分後に戻ってくるとは言ってたけど」

「チッ、もう時間がないわね、とりあえずあなた達、私に雇われてくれない?」

「あーいいよ、どうするの?」

少女はズッコケかけるがなんとか持ち直す。

「やけにあっさりしてるのね、そっちの彼女もいいの?」

「彼女ではなく嫁です、私は夫の判断に任せます」

いつ間に結婚したんだろ、自分の左手を確認したが、指輪はしていなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る