第9話 小説のゆるやかな死


 それはぼくがある長編小説を書いているときに起きました。最初ノリノリで書けていたものが、じょじょに書くことがつらくなり、やがてどうにも話が進まなくなったのです。

 ぼくはこれを、『小説のゆるやかな死』であると、思っています。


 それは、小説が書けるようになってしばらくしてからのこと。そのとき書いていた長編は『ファイルナ・ジ・アース』という作品でした。これはカクヨムでは現在非公開です。


 もともとは、当時ハマっていたゲーム『ファンタシー・スター・オンライン』の二次小説のアイディアがベースのお話です。その二次小説は書かれることはなく、アイディアだけが宙に浮いておりましたが、だったらちゃんとした長編としてオリジナル・ストーリーにして作品化しようと書き始めたものです。


 当時のぼくは、プロットをほぼ書かずに長編を書くスタイルをとっていました。

 登場人物の名前と、だいたいの流れ、固有名詞、そんなものを決めて、あとは流れ、その場の盛り上がりで、行くぜ行くぜ行くぜ! おれ参上! そんな感じで、ほぼアドリブで書き続けるスタイルです。


 このスタイルで書けるということは、キャラクターも物語も、ある程度自動筆記できていることを意味しています。カクヨムで公開しているほとんどの作品が、この「ほぼアドリブ」のスタイルで書かれています。例外は、ふたつだけ。

 もっとも古い『カーニヴァル・エンジン2 ストロベリー・アタック!』と、最近の作品『刀剣オカルトMØDE』です。


 つまり、今現在のぼくはすっかり失われたはずの翼は復活し、元気に楽しくここで書いているということです。


 ぼくが小説のゆるやかな死を体験したのは、この「ほぼアドリブ」というスタイルをやり始めてから3作目くらいでしょうか。


 ゆるやかに死んでいった小説、『ファイナル・ジ・アース』。

 ぼくはその作品のゆるやかな死と再生を、簡単に語りたいと思います。


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