最終話~後編~

━━時は過ぎ、夕暮れが私たちを照らし始めたころ...


「なぁ、観覧車、乗るか?」


とたけるが提案してきたのだ。


「そうだね」


と私は頷き、観覧車へと向かい、観覧車に乗った。


「久しぶりに観覧車に乗るな」

「そうだね...」

「この五年間、色んな事があったけど、楽しかったな」

「うん、そうだね」

「...出会いの時はきよみが俺より年下の少女に思ってたんだが、まさか同い年だと思ってなかったんだよな 」

「あ、それ私も同じ。たけるが私より年上のお兄さんだと思ってた」

「あー、だから最初お兄さんって言ってたのか」

「うん、そうなんだ...」


私達は今までの事を振り返っていた。

お互い歳の違う人に見えていた事を打ち明け合っていたが、私は少し恥ずかしくなってしまった。


「その時は、俺達がこんなに仲良くなるとは思いもしなかったな...」

「そうだね、私もそんなこと思ってなかった。本当にあの時はイケメンなお兄さんに会えただけだったんだけど、すごく嬉しかった」

「そうなのか?」

「うん。そこからなんだよね、私がたけるのことが好きだって気付いたのは」

「そうだったんだ...」

「うん」


お互い、今に至るとは思いもしていなかった。

私もそんな事は思いもしていなかった。あの時、本当に恋に落ちたと言う感覚を初めて知った事を今も鮮明に覚えている。


「あと四ヶ月で、私たちが付き合い始めてからちょうど五年になるね」

「だな、長い様で短かったな」

「あっという間だったよね」

「本当に...」

「...?」


何故かたけるが自分のポケットをゴソゴソと漁り始めた。


成人したから、なにかプレゼントくれるのかな?

何のプレゼントなんだろ...


私はドキドキやワクワクしながらたけるの出すものを楽しみにしていた。


「あのな、きよみ」

「ん?なぁに?」

「付き合ってから、もうすぐ五年になるけど...これから、俺と結婚を前提で付き合ってください!」

「...た、たけるぅ...」


嬉しい、嬉しすぎるよたける...


たけるはポケットから婚約指輪を出して、プロポーズしてきたのだ。

予想外のプロポーズに涙が止まらなくなってしまった。


「うぅ...ありがとう、たける。そんなふうに思ってくれてたんだ」

「ああ、きよみが良いのなら、結婚したいと思ってる」

「うん、私もたけると結婚したい。よろしくお願いします」

「こちらこそ」


私は、当然ながらプロポーズを受け入れた。



━━━翌年三月、たけるの専門学校卒業の後、私達は結婚式を開いていた。

私はたけると共にバージンロードを歩いていた。

私が周りを見ると、私達の両親が居た。


...あれ?ちょっと待って、私のお母さんだけならともかく、私のお父さんやたけるのお父さん、お母さんが居るのはおかしい気がするんだけど...


私が目を擦ってから再び見ると、私のお母さん以外の両親は少し透けている。

幽...霊?


...そっか、私達の慶びの時だもんね、下りてきててもしょうがないか。

見えたのは驚いたけど...


「新郎、たける。あなたは新婦、きよみに対し、永遠の愛を誓いますか?」

「はい、誓います」


神父さんによって、たけるは永遠の愛を誓った。


「新婦、きよみ、あなたも同じように誓いますか?」

「はい、誓います」


私も同じように永遠の愛を誓った。

これで私達は晴れて夫婦となったのだ。


ふふ、幸せ。

ずっとこんなに幸せだといいな


私はそんな気持ちになった。

本当にずっと幸せでありますように...

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