第18話 30s Growing Up
一つ幸福を得ると 二つ幸福が欲しくなる
二つ幸福を得ると 三つ幸福が欲しくなる
三つ幸福を得ると さらにさらに欲しくなる
人は 私は 何処までも欲深く 罪深い
それが過ちと気付けぬまま
今あるもの以上のものを求めてしまう
それが人 それが私
私は幸福の中にいた
妻子に恵まれ かつ家庭内は平和だ
私は幸福の中にいた
共産党員となり ある程度の地位も得た
私ハ去勢サレタカラ 異性トハ付キ合エナイ
私ハ去勢サレタカラ 異性トハ付キ合エナイ
永遠ニズット 死ヌルソノ日マデ
そのルサンチマンは最早克服されたと言っていい
だが そうなると別のルサンチマンも克服したくなる
乗り越えたくなってしまう
そう パワーエリートになれなかった点だ
ある程度の地位はあるものの ある程度止まり
結局は一介の電気技師でしかないコンプレックスだ
私は電気技師の仕事をしながら
その克服の為に猛勉強を再開した
大学への入学を目指した
今更官僚にはなれないので代替として
私はその先に教職となる道を目指した
その夢は時が経つにつれ私だけでなく
フェーニャと共に抱く夢となり
結果 私は30になった時に
ロストフ大学教養学部への入学を果たした
その5年後に卒業した私は
教職資格とノヴォシャフチンスクで小学校教師の職を得た
今までの挫折と屈辱を取り返すかのような成功に
私自身嬉しく そして誇りに思っていたし
私の成功をフェーニャが誇らしげに話す様も
私は嬉しい気持ちで見守っていた
小さな幸福の夢から
大きな幸福の夢へ
一歩一歩進んでいって
大きく綺麗な華が咲いたので
後は堕ちるだけだった
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