第37話 社長のヒゲ

小売りやサービス業では従業員はヒゲは生やさない。

生やしちゃいけない。

客商売だからお客さんに不快感をもたれたりしないようにと、扱う商品によって衛生面も気を付ける。

大阪の公共交通の運転士がヒゲは個人の自由だと自治体相手に裁判を起こしたりもしているようだが、利用するお客にとっては無精髭の運転士のバスにはちょっと違和感と感じる人も多いだろう。

どこの企業もヒゲをはじめとして、従業員のドレスコードが決められている。正社員、パート、バイトも基本的に共通してのものである。

ヒゲのみならず、髪の長さや毛染めの色、ピアスの禁止など。

個人営業の小売り業や飲食店では、ほとんどドレスコードもない所もあるが、大手も中小も企業としてチェーン展開しているお店では決め事が多いだろう。

従業員にはヒゲ禁止の小売りやサービス業なのに、社長だけがヒゲ生やしている企業がある。大手企業ではほぼないが、中小企業で同族経営のオーナー社長はヒゲを生やしていケースが目立つ。社長だけがヒゲで、雇われている役員や本部スタッフはヒゲなんて生やしていない。無精髭がカッコいいと思っているのか?同じような経営者仲間の間で流行っているのか?クラブのホステスに人気なのか?無精髭生やすほど忙しく仕事をしているのか?

従業員にはヒゲ禁止のドレスコードを設定しておいて社長だけヒゲOK。

店長会議でも何の説得力もない。

自分だけヒゲOKの自覚すらないのかもしれない。同族経営のオーナー社長だから自由気ままな感覚だろう。

自分に甘いだけ。

会社は自分のもの。

会社の利益は自分のもの。

会社の従業員は自分の召し使い。

そんな感覚だろう。

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