第24話 幽霊店員ばかりのお店なのよ(/≧◇≦\)

お店の人員構成というのは、社員を何人入れるかは本部が決める。それ以外のパートやバイトの採用や人員数はその店の店長の裁量に委ねられるのが基本。

労働生産性や人時生産性を意識して売り上げと利益と人員数のバランスを意識してパートやバイトを採用し、月間スケジュールや日々のシフトに落とし込む。

そこまで細かく管理している店長などほとんどいないが。

人件費を押さえたいと思う店長ならパートやバイトの数を極限まで減らし、名ばかり管理職である社員の残業を増やしたりする。

パートやバイトの人員管理も店長の重要な仕事である。

抱えているパートやバイトをいかにうまく使うかも本部の評価の対象になる。

また、パートやバイトが長続きせずにすぐ退職してしまうことも、従業員へのコミュニケーション能力が低いと見なされる。

全く職場に合わない従業員は店長自ら退職してもらうように働きかけることもあるが、人手不足のご時世なので採用した従業員は安定して長く勤めてもらいたいのが店舗や本部の願いでもある。

しかし、店長のオペレーション能力や従業員への接し方、指示の出し方などが悪いと、職場自体に面白味も希望も無くなりパートやバイトはどんどん退職してゆく。最低賃金やそれに近い時間給なら退職してどこのお店に移っても何の損もないから。

パートやバイトが大量に辞めることは店長の能力が低いと本部は認識する。

それを知られたくない為に、退職者の報告を本部にしない店長がいる。

出勤日ゼロのパートやバイトの給与明細も本部は出さねばならず、不審に思い店長に問うが、「只今、就職活動中でしばらく来れないだけです。」「子供さんの事で忙しい様で今月は出勤されてないだけです。」などと言い訳をして逃れている。

本部の認識では、お店には4人の社員と8人のパートやバイトが在籍しているはずなのに、5人も退職していることを店長が自分の評価が落ちることを恐れて報告せず、実際はパートやバイト3人で回している。

退職した5人は幽霊店員。

おかげで、店は限界を越えた人員不足で社員は残業だらけ、残されたパートやバイトの作業量も増え、急な出勤要請の連続でうんざり。また、退職者が増える。

結局、数ヵ月後には幽霊店員であることはバレるのだが、店員はその時点でも保身に走る。

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