第61話 ロリコンは犯罪者です本当にありがとうございました
「あだだだだ」
「お兄さんよっわ」
新種の怪物と遭遇して一夜明け、ホテルの一室で筋肉痛に悶えていたでござる。そりゃー明け方に出掛けて一日中山登りして夜中に帰ってくるなんて強行軍すればこうもなりますとも。
「ひ、秘書さんは?」
「朝からどっか出掛けた。昨日ボクがやっつけたデカブツを調べるんだって」
先日夜を徹して行われたというバラバラになった怪物の回収作業。死んだ瞬間、結晶化してしまったのでござる。出発前に話を聞いたときは灰になったと聞いたのにヤツは違った。
(あれはもはやこの世界の生き物ではないでござる。いや、生き物と呼んでいいかどうかすら怪しい…)
「お兄さんさあ、八人目なんだよね?名前なんていうの?」
「おお、そういえば自己紹介してなかったでござるな。吾が輩の名前は戦野武将でござる」
「サムライなんだよね?」
「違うでござる。誰からそんなことを?」
「スナイパーのおば……、おねえさんが『アイツはサムライの子孫なんだ』って言ってたよ」
リエッセさん、なに適当なことを吹き込んでいるでござる……。つか今おば……っん!んん!って。
「ヘヴンズ・ミス氏、本名を聞いても?」
「ボク?ボクはスカイ・アルストロメリア!スカイって呼んで!」
アルストロメリア、アルストロメリア……。どっかで聞いたような。たしか南米あたりにそんな名前の王国があったでござる……。特殊で珍しいレアメタルが取れるってその業界では有名な……。ことは王女様?!ぅゎょぅι゛ょっょぃ。
「なるほど、スーさんでござるね」
「ソレハ釣り○カ日誌ダヨ(棒読み)」
しかしこの幼女、ノリノリでござる。
「日本で一度お会いしてますな」
「あの時はゆっくり話してる暇はなかったねー」
ベッドで足をぷらぷら。なんとも健康的なこんがり焼けた幼女の足。ぐへへ。華奢な脚に柔らかそうなふくらはぎ、ショートパンツからチラチラ見える太もも。ロリコンは犯罪者です本当にありがとうございました。
「学校に行かなくてよろしいので?王女様」
「それやめてよ、だいっきらい」
「こりゃ失礼しますた」
どうやら王女様扱いはされたくないと。レイミさんやリエッセさんもそうだったでござる。凄い出身なのに嫌がって捨てようとしているでござる。リエッセさんにいたってはまさかのOLだったし。
「ねえ、ボクはもっと外で遊びたいの!」
「王族がそんなホイホイ外に行ったら警備が大変にでござる」
「お兄さんもそう言うこというの?皆そう言うんだ、ボクは他の人と違うから外に出るなって……」
膝を抱えて俯き、暗い表情で語る。相当息苦しい生活を送っていた様子。この幼女がどれだけの力を持っているのかは分からないけど、見られることすら警戒するとは……。
「いつもいつもボクだけ宮殿の中でつまんない。お庭だって広いのにボクだけ見てるばっかり。お兄ちゃんやお姉ちゃん達は楽しそうにしてるのに……」
まさに籠の中の鳥というヤツでござる。なんだか事情がある様子。
「お兄さん、ボクの瞳をよーく見てて」
「?」
彼女は突然こちらを振り向いて、パチパチと瞼を開けたり閉じたりしてみせた。
「うおっ」
瞳の色が変わったでござる!
「ボクね、チカラを使うとこうなるんだ。王族が白人でもないのに青い瞳はダメなんだってさ」
どんなに強く力を使っても、吾が輩でもここまで顕著に表れることはないでござる。
「でもね、おばーちゃんが出してくれたんだ。チカラのこと凄いねって褒めてくれて、ボク嬉しかった」
なるへそ。遊びたい盛りだろうにそんなんじゃそりゃさっきの吾輩は失言だったでござるな。ロイヤルセブンに参加するのはそういうことでござったか。
「ということで遊びにいこう!ホテルたいくつ!!!!」
「行ってらっさい。吾が輩は筋肉痛がひどいのでお留守番してるでござる」
「いーくーのー!」
「いーかーなーいーのー!!」
寝巻きを引っ張られてずるずると引きずられるでござる。どんだけ遊びに行きたいのこの子は!ていうか腕力強すぎでしょ!
「ほーらーカバ!散歩に行くんでしょ!!」
「吾輩カバじゃないでござる!首輪付けて散歩に行くカバとかいませんから!」
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