第10話 基本、人の話し聞かんし。

アケオメコトヨロ〜〜〜


2020年が始まりました。


異国に住んでいると、やけに日本的なことをしたくなるもので、お正月の鏡餅とか飾ってる。もう、12年くらい飾っている。


外側プラスチックで中身だけ、毎年新しく小袋の切り餅を入れる今どきのやつ。


外装を毎年使えて、見栄えがよくって、存在感があって、

「嗚呼〜〜〜、お正月だああ〜〜〜」

とほっこりする。


日本人にしかわからんやろうなあ。



で、



この時期、家に来るイギリス人の家族親戚が、鏡餅を指さし、


「これは何?」



と聞くのだ。毎年聞く。毎年。


今年ももれなく聞かれた。


そうなのだ。説明するのがもはやお正月の恒例行事。



この鏡餅の説明をもう100回はしたと思う。


去年も一昨年前も、三年前も聞いたやんそれ。自分、覚えてないんか?全部は覚えて無くとも、なんとなく、ざっくり覚えているだろうに。




最初のほうは、ちゃんと、日本の文化を紹介すべく説明した。


これはお正月の飾りで、お餅で作られたもので、お餅とは、お米の中でも、もち米と言われる、ねばりのある米を蒸してついて、丸くして二段にして飾る。新年の神様がここにいらっしゃって……


どーのこーのいろいろいろいろそんでもって、


……本当はこれ自体がお餅だけど、今は外側はプラスチックでできていて、中にお餅が入っているものが人気。そして1月11日に鏡開きと言って、お飾りしていたお餅をありがたくいただくのじゃ。



みたいなことを逐一説明してたけど、



最近は毎年説明しているのに覚えてくれないものだから、


ニューイヤーのデコレイション。


以上。と超簡潔にまとめる。




なぜ、毎年聞く?


基本、人の話し聞いてないし、興味ないんだろ。だったら聞くなや。



何年か前の正月3日に、鏡餅を持ち上げて底のシールドを勝手にはがし開けて、中からお餅をだして、

「何これ?」

と聞いた、がさつな義理妹。



「あ"ーーーーー、それは、11日まで、鏡開きまであけちゃだめなのようー。バチがあたっるうーーー。バッドラックなのよーーーー」


なにしてくれてんねん。とあわててテープで底を貼った。


異国にいればこその、やたらに言い伝えなどに敏感になる邦人の心模様。



それから一ヶ月後、

本当にバチがあたったのか、わたくし、顔面左半分麻痺になった。無事完治したけど。←コレマジな話。

小説のネタにできそうやん。




まあ、そんな恐ろしこともありーの、すっちゃかめっちゃかな毎年のお正月。


イギリス人、基本、人の話し聞いてないし。

マジ、力説しても無駄。



ああ、みんながみんなとちゃいまっせ。そりゃ、日本に興味のあるイギリスのお方は、わたくし以上に日本のことを知っていたりするのよ。



けど、ちとちがうんだなー、なんか。解釈というか、ビミョーに。。。


で、そこで力説しても、またあんま話聞いてないし。


なんやそれ。



それって、わたくしに何か問題でもあるんですかー。


じゃあ、


もう、いい。もういいよ。




今年もテキトーに生きよう。

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