第24話 喫茶室
商業ギルドの2階にある喫茶室は、階段を登り1階をグルッと見渡せるようにテーブルが配置されていて、なかなか面白い。
「いらっしゃいませ。おすすめのランチはAとBがあります。ご注文が決まりましたらお呼び下さい」
ランチはどちらも、銅貨15枚で肉か魚の違いだけでサンドイッチにスープが付いているようだ。
飲み物が銅貨5枚からだった。
軽めの物が中心なのか、男性の姿より女性が多かった。
商談にも利用しているのか、側で何か話している商人の声が全く聞こえてこないのは、魔道具を起動しているからだろう。
ここの喫茶室のおすすめに、商談用の魔道具貸しますと書かれていた。
「Aランチでお願いします。飲み物は、これでライダヤ茶お願いします」
通りかかったウエイターさんに、渡されたプレート見せながら注文する。
「かしこまりました。見ない顔だし、新人さんかな?」
「レアと言います。鑑定室で、臨時でたまに働くことになると思います」
ウエイターさんは、カナイと言うらしい。ここにはほぼ毎日働いているようだ。
「そうなんだね。よろしく」
爽やか系のお兄さんで、あんな姿で諜報員なんだと鑑定しちゃったが、まぁあの外見だからこそみんな騙されやすいんだろうなと思う。
今のところ、レアが鑑定したことは全くバレていない。
レア自身から言い出して、バレてしまうことはあったが、自分が言わないと誰も気づかない程度に鑑定スキルが高性能のようだ。
注文したランチが届くまで、レアは下に見える出入りする者達を鑑定する。
ほとんどが、商人か、お使いでくる職人がほとんどだった。
気がついたことは、アイテムボックス持ちが全くいないことと、当たり前だが街中の者はレベルが低い。
アイテムポーチの普及で、荷物は軽く出来るようになった。
ただ旅をする者達は、だいたい行き先が同じ者同士が集まってから、馬車乗り場まで行き移動するようだ。
これは盗賊や魔獣の襲撃から身を守る為、団体になり行動する為だ。
下の受付で、行き先と時間の確認から4つある出入りの門の馬車乗り場の案内や、予約をここで受付している。
急いでいる時は、直接馬車乗り場で交渉も可能らしい。
受付嬢が、行き先別の案内板に書き込みしているのが見えた。
集まる人数で、護衛の数も決まるが安定して護衛の仕事が入るせいか、冒険者にも人気のようだ。
1つの馬車に、大抵護衛に傭兵か冒険者を6人〜行き先に応じて雇っている。
護衛の依頼を受けた冒険者らしいチームが、下に見える受付で大声で話しているせいか、内容がまる聞こえだった。
「お待ちどうさま」
注文した物が届き、お金をその場で支払うシステムのようだ。
銅貨15枚を渡す。
「何か、変わったものあった?熱心に見てとからね」
「こうして、上から下をじっくり見る機会が今までなかったので、物珍しくて見てたところです」
当たり障りのない事を言う。
鑑定でみた限りで、この人は商業ギルドの諜報員のようだ。
きっとギルドに集まる商人の情報を、集めているんだろうか?
そこで、背中のフードに入っていたクーが起きたらしい。モゾモゾ動いて、横の柵に乗っかる。
「蜘蛛出しても大丈夫ですか?」
禁止事項が、あるか聞いてみる。
「ここに来る人は、蜘蛛慣れしてるから大丈夫だよ。この蜘蛛は糸蜘蛛かい?」
「そうです」
エサは特に食べたい訳でもないようで、糸を巻く棒を渡すと、慣れたものでレアが言うサイズの糸を出し始める。
「良く訓練されているね。おっと冷めない内に食べちゃって」
そう言って、仕事に戻るカナイだった。
まずはスープと、具沢山で飲めばコンソメ味っぽい。
サンドイッチも、そこそこの量だ。
マヨネーズっぽいソースを使っているようだが、マヨネーズよりも酸っぱいかなと思う。
食材の鑑定で分かったことは、このマヨネーズっぽいソースは、野菜から出来ているらしい。
なんとか食べきったが、サンドイッチの具が脂っこかった。
「お茶で、口の中さっぱりさせよ」
壁時計を見れば、まだ昼休みが終わるまで20分以上あるせいか、ゆっくりお茶しながらまったり過ごすことにする。
クーは、柵の上で器用に糸巻きをしている。
蜘蛛を恐れる者は、見た限りでは居ない。
出入りする商人の肩に乗る蜘蛛は、やはり花蜘蛛が多かった。
色合いもカラフルな蜘蛛が多く、テイムされてなければ森中だと派手すぎる色は生存しにくい。
蜘蛛に鑑定かけると、そこそこ高いレベルのようだ。
魔法も、水、火、雷と色々あった。
治癒魔法を持つ花蜘蛛もいて、花蜘蛛の場合持つ魔法は決まっていないんだろうか?と疑問に思う。
そして、やはり街中の商人や職人の蜘蛛より、旅をする商人の持つ蜘蛛のレベルが高い。
やはり外に居る魔獣を狩る手伝いや、魔蟲を倒す機会が多いからだろう。
「クーも早くレベル上げて、念話出来るようにしたいね」
さてそろそろ鑑定室に戻ろうと、クーをフードの中に入れ喫茶室を後にしたレアだった。
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