第345話 貯木場2
貯木場の親方のバッカスは金貨を出してきたのが少年だったので「何でガキが?こいつは貴族か大商家のボンボンなのか?」と思ったがイングマルの手は少年とは思えんようなゴツゴツした傷だらけの手だったのでどうもそういうのではないらしい。
親方のバッカスは「おまはんは何じゃ?どこの商会のもんじゃ?」とイングマルに聞いた。
イングマルは「僕らはギルド・シーワゴンの者です。」と言った。
バッカスは驚いて「シーワゴン?!あれか?!海賊にケンカ売って
イングマルはコクリとうなずいた。
エーギルは「ハハハ。まだ知らんようだがそれだけじゃないぞ。もうじき分かると思うがここに来る前に
ワシも報償金をタンマリ頂いた。
こんなのは人生で初めてじゃワイ。」と言った。
バッカスは「ほんまなんか?!
何でそんなことが出来るんだ・・・・・?!
よほど優秀な強者ぞろいの船員たちなんか?・・・・・。」と驚いていた。
エーギルはイングマルの顔を見ていたがイングマルはコクリコクリとうなずいて「そういう事にしておいて」と合図した。
エーギルは「ま、まあなんだ、ワシはギルドには属しとらんがな。
ワシは雇われ船長だからな。」と言った。
バッカスは「そうなのか?何でギルドには属さんのだ?」と聞いた。
エーギルは「もうわずらわしいしがらみはごめんじゃ、気楽でいたいからの。」と言った。
バッカスは「ふーん。おまはんらしいの。まあええワイ。
だが気をつけろよ。たしかシーワゴンはこの港じゃ偉いさんににらまれとったはず。
海軍からも憎まれてたの。
海軍の港の閉塞騒動のとき、海賊よりシーワゴンの連中の方が憎まれてた。
酒場で水兵らがぼやいておったワイ。あいつらが逃げ出さなかったらうまくいってたのに!ってな。
まあワシらはザマあ見ろと思ったもんじゃがの。
軍人どもいつも偉そうにいばりくさりおって、エエきみじゃ。
あん時は胸がスーとしたワイ。
おっとこれはないしょだぞ。」と言いいながら伝票を書き込み木場長を呼んだ。
入って来た木場の責任者はバッカスの息子だが見た目はほとんどおじさんでバッカスとほぼ変わらない風貌だった。
バッカスは「おいベル、お前も知っとるじゃろ、酔っぱらいのエーギルじゃ。」と言って紹介した。
息子のベルはちょっと一瞥しただけで伝票受けとると部屋を出ていった。
バッカスは「何じゃ?あいつは?全く!いつもああじゃ、愛想もくそもない。」と言って首を振っていた。
外では号令がかかり早速職人たちが材料を集めていた。
イングマルも外に出てアントニオとオットー両船長に注文した材料を知らせた。
各船長は船員たちを指図して材木の荷揚げの準備を始めた。
木材はかさばるので上手に積まないと積みきれなかったり途中でバランスを崩して荷崩れしたりする。
そうなると船が転覆することもある。
きちんと積んで下ろしやすくすぐに使うものは最後の方にしたり、重いものは下の方にしたりする。
単なる積み荷の上げ下ろしといってもノウハウが必要でベテランの手にかかると何%も積載量に違いが出てくる。
この辺りはイングマルより他の船員たちの方がベテランであった。
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