第277話 円卓会議2
長官はイングマルの言を聞くと「生意気言うな!クソガキがッ!これは高度に政治的な問題なのだ!代々の約束だ!知恵なのだ!持ちつ持たれつで両者ともに大きな利益を得れるのだ!」と怒鳴った。
イングマルは「何言ってるんだい?!100歩譲ったとしてそういう協定を守るのなら被害者を保障しなけりゃいけないでしょう?!」
「被害者は放って置いて持ちつ持たれつもあったもんじゃない!」と反論した。
長官は「君らの意見など聞いていない!君たちの行動は平時に乱を起こすものだ!」と怒鳴った。
黙って聴いていた商人も「少なくともこの州では港町の隅々まですでに定まった体制というものがある。例え誰であろうとそれを壊す事は許されん。」と言った。
イングマルは「だから、体制を守るなら守るで被害にあった者を保障して保護しなきゃダメでしょう。」と言った。
「何をするにもどんな組織にもリスクというものはあるのだ。
体制を維持するためにはそのリスクも必要なものだ。
リスクがあるからそれらから逃れようと人は努力し這い上がろうとし向上心を持つ。
貧しさという土台の上でハングリー精神を育み社会は活性化するのだ!」と商人が自信満々で演説した。
イングマルは「理不尽な犯罪をリスクで片付けるんじゃない!!」
「リスクというのはどうにもならない災害や事故や病気怪我なんかのことを言うんだ!
悪意を持った人間の犯罪行為はリスクなんかじゃない!」と怒鳴った。
子供でありながら激しい怒気にその場にいた全員が少しひるんだ。
「だ、黙れ!!生意気なクソガキがッ!貴様が何と言おうと定まった体制への攻撃は許されん!誰であろうとだ!お前たちはこの町から出ていけ!!」と長官は怒鳴った。
ジョンは驚いて「ちょッ!ちょっと待ってくれ!今港から出ていったらたちまち殺られる!どっかの商会かギルドの船団に加えてくれよ!」と言った。
商人たちは「何を言ってるんだ?自分で撒いた種だろうが!人を巻き込むな!誰もお前達を受け入れる所なんか無いぞ!言っておくが近隣の港町も同じだぞ。少なくともネーデルラント州とベネディクト3州ではどこに行っても無駄だからな!」となぜか勝ち誇ったように言った。
「無茶苦茶だ!海賊の味方するなんてどうかしてる!こんなのは悪魔との取り引きだ!」とイングマルは言ったが何を言っても無駄であった。
「もういい!出ていけーッ!!おい!こいつらをつまみ出せッ!!」と長官は叫んだ。
衛兵がやって来て二人は引きずられて連れていかれた。
「ちょっと待ってくれよ!見捨てないでくれよ!!」とジョンは叫び続けたが二人はそのまま庁舎から放り出されてしまった。
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