第74話  かけおち2



 




 戦おうかと思ったのだが何が待っているか確認したかったので、仕方なくイングマルは彼らと同行することにした。








半日ほどして人里離れた城のような館に到着した。




犬のトミに馬車で待つように言っておいて、馬車から降りた。






が、いきなり後ろから殴られて気を失った。




イングマルは縛り上げられて、館の地下室にいれられた。








気がつくと地下牢には他に女子が多数閉じ込められていて、みんな絶望して諦めの表情だった。










「ここはいったい・・・・皆さんどうしたんですか?」



皆、イングマルを気の毒そうに見ていたが一番年長と思われる女性が重い口を開いた。





話を聞くと皆連れ去られ、この後どこかへ送られるとのことだった。










この館はフェルト子爵の配下の盗賊によって作られた、人身売買の拠点であった。




ここで値段をつけられ、スロトニアの子爵の本拠地へ連れていかれるとのことだった。












ほどなくしてイングマルが拷問部屋に連れていかれた。





複数の男たちにイングマルは逆さ釣りにされ、そのまま水桶に頭からつけられた。



男たちはニヤニヤ見ている。







悶え苦しみやがて引き上げられ、館の主、アラン・コンペは薄笑いを浮かべながらかけおちした2人をどこに逃したかと聞いてきた。





イングマルは「知らない !」とわめいたが、またすぐに水に頭をつけられる。






しばらくしてから引き上げると、何人もの男たちが棒でイングマルを殴り始めた。





殴っては水につけを繰り返し、イングマルは泣き叫んでいたがやがて気を失った。






意識を取り戻すとまた同じようなことを何度も聞いてくるが、イングマルは知らないというばかりだった。




後は泣きわめいている。




三日三晩、そのようにして拷問が続いていた。




何かを聞き出そうというよりもイングマルが悶え苦しむ姿を見て喜んでいるようで、アランの恍惚とした表情がそれを物語っていた。





イングマルの反応がだんだんなくなり、殴っても殴っても泣き叫ばなくなり体が倍ほどに腫れ上がるとようやく拷問が終わり、地下牢へ戻され腫れがひくとまた拷問が始まった。





だんだんイングマルは身も心も壊れたように見え、何をしても全く何も反応しなくなりアランはつまらなさそうだ。





アランは何かを思いついたらしく、そのままイングマルを地下牢に閉じ込めた。




ボロボロになって牢に戻って来るイングマルを一緒にいた女達はどうすることもできずただ見守ることしかできなかった。





数日後、館で宴が行われた。










館の大広間にはごちそういっぱいのテーブルが並び、大勢の”客”がいた。





商人や貴族らしい人もいる。





身分が知られたくないのか、仮面をつけている人もいた。









やがて上座にアランやその取り巻き身分の高い貴族が並び、その正面の壇上に捕らえられた女たちが引き出されて順番に値が付けられていく。





オークション会場だった。





1人ずつ値段がつけられお客たちは飲み食いしながら、実に楽しそうだった。





すべての商品に値がつけられるといよいよアランお楽しみのメインイベント、「待ってました!」と騒いでいる。








大皿に裸のイングマルを乗せてやってきた。






生きたまま解体する、解体ショーを行うという。









頭巾をかぶったかっぷくのいい男がよく切れる解体ナイフを持って一緒にやってきた。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る