第3話

そして二階の最初の部屋で、それは起こった。


入るとベッドが二つあり、カーテンで仕切られていた。


紙を探そうと部屋の奥まで進んだとき、後ろから聞こえてきたのだ。


少女のか細い声が。


「お願い。こっちに来ないで……」


身体が瞬時に硬直したが、それでもなんとか振り返った。


女の子がいた。


六、七歳くらいだろうか。


顔の左半分がやけに白く、そして右半分は血で赤く染まっていた。


着ている白いワンピースも、右半分が真っ赤だ。


逃げようとしたが、出来なかった。


なにせ女の子は、部屋の入口の前に立っているのだから。


――……。


全身は震え、頭は半ば錯乱状態だった。


するとそれまで僕の足元を見ていた女の子が顔を上げ、僕の顔をじっと見た。


そして近づいて来て、言った。



病院を出ると、三人が寄ってきた。


「ちゃんと見つけてきたんだろうな」


僕はシンイチに紙を渡した。と同時に、シンイチの腕を掴んだ。


「おい、なんだよ」


「……」


僕は腕を離した。

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