ちょーうん! 3-2 

定軍山の戦いで夏侯淵を倒すと、

いよいよ曹操本軍が接近。


曹操、長期戦を想定したんでしょう。

多量の兵糧を、北山の麓に持ち込んだっす。

ここで黄忠が提案。

この兵糧、奪ったろうぜ、と。


そこで趙雲の兵を貸してやることに。

ところでこのレンタル、

期日が切られてたそうっす。

そして期日が来ても、黄忠、帰ってこない。


一体何が起こっているのか。

そいつを確認するために趙雲、

数十名の兵だけを連れて、軽装で出立。


すると、うっかり。

黄忠と合流したところで、

曹操軍に見っかっちゃった。


戦力的には、どうしようもない差。

けどあの曹操を討つ、

またとないチャンスでもある。


なので趙雲自身が先頭に立ち、

曹操軍に突撃しました。

ただ、ここに別の魏軍も合流。

あっという間に迎撃体制が組まれてきます。


こうなると、もはや討つとか

討たないの話じゃないです。

どうしたら、逃げ延びられるか。


趙雲、ヒットアンドアウェイで

立ち向かいます。機動力を活かし、

敵の戦闘を少し突き崩すと、撤収。

以下その繰り返し。


曹操軍もそれに合わせ、バラけては合流。

このまんまじゃ切りがない、

そう判断したのか、趙雲、

いちど計略で魏軍を罠にはめたあと、

自陣に撤収しました。


しんがりを努めたのは、張著ってひと。

怪我を負いながらも、

なんとか役目を果たしました。

なので趙雲、彼を迎えに再び陣から出ます。


一方で曹操の軍、陣地に接近してきます。

沔陽の長官である張翼という人が

趙雲の陣地の中におりまして、

門を閉じて守るべきだ、と主張しました。

が、趙雲、陣内に戻ると、言います。


「構わぬ。門を開け放ち、

 旗をおろし、戦鼓も止めよ」


こうして、曹操軍を迎え入れん、

とばかりにがらんどうとなった陣地。

ここまで無防備な状態だと、

さすがに罠を疑わずにおれません。


なので曹操、うかつな損害は

受けたくないから、撤収しました。


で、引き上げの態勢になったところで、

趙雲、戦鼓をばんばこ叩き、

背中を見せた曹操軍に、弩を浴びせます。


こいつに慌てふためいた曹操軍、

後ろの兵が前の兵を踏み潰すわ、

足を踏み外した兵が漢水に沈むわ。

かなりの死者が出たそうです。


……へー。


さて、明くる朝、

劉備が陣中にやってきました。

で、陣地から、曹操軍がえっらい犠牲を

出したあたりからを視察してまわると、

言ったそうです。


「はぁ、子龍のやつ、

 全身これ肝っ玉だな」


そうして食料を、楽隊を招き、

日が暮れるまで趙雲の武勇を

称える宴が開かれました。


こんなこともあったから、趙雲、

軍中では虎威將軍、って

呼ばれるようにもなったそうっす。




夏侯淵敗,曹公爭漢中地,運米北山下,數千萬囊。黃忠以為可取,雲兵隨忠取米。忠過期不還,雲將數十騎輕行出圍,迎視忠等。值曹公揚兵大出,雲為公前鋒所擊,方戰,其大眾至,勢偪,遂前突其陳,且鬥且卻。公軍散,已復合,雲陷敵,還趣圍。將張著被創,雲復馳馬還營迎著。公軍追至圍,此時沔陽長張翼在雲圍內,翼欲閉門拒守,而雲入營,更大開門,偃旗息鼓。公軍疑雲有伏兵,引去。雲雷鼓震天,惟以戎弩於後射公軍,公軍驚駭,自相蹂踐,墮漢水中死者甚多。先主明旦自來至雲營圍視昨戰處,曰:「子龍一身都是膽也。」作樂飲宴至暝,軍中號雲為虎威將軍。


夏侯淵の敗せるに、曹公は漢中の地を爭い、米數千萬囊を北山が下に運ぶ。黃忠は以て取るべしと為し、雲が兵は忠に隨いて米を取る。忠が期を過ぎても還らず、雲は數十騎を將い輕行し圍を出で、迎えて忠らを視る。曹公の兵を揚げ大いに出でたるに值い、雲は公が前鋒を擊ちたる所を為し、方に戰わんとせば、其の大なる眾の至り、勢い偪りたれば、遂にしてなるを其の陳せるを突きて前み、且つ鬥い且つ卻く。公が軍は散ぜど、已にして復合せば、雲は敵を陷し、還りて圍に趣る。將の張著は創を被り、雲は復ま馬を馳せ營に還りて著を迎う。公が軍は追いて圍に至り、此の時、沔陽の長の張翼は雲が圍の內に在り、翼は門を閉じ拒守せんと欲せど、雲の營に入れるや、更にして大いに門を開き、旗を偃し鼓を息む。公が軍は雲に伏兵の有せるを疑い、引きて去る。雲が鼓の雷なるは天を震わせ、惟だ戎弩を以て後ろより公が軍に射たれば、公が軍は驚駭し、自ら相い蹂踐し、漢水が中に墮ちたりて死したる者は甚だ多し。先主は明くる旦にて自ら來たりて至り、雲が營みたる圍にてを昨に戰いたる處を視、曰く:「子龍が一身、都べて是れ膽なり」と。樂を作して飲宴せば暝れに至り、軍中は雲を號して虎威將軍と為す。



なんだかよく分からん。おそらくは「四方を帷幕に囲まれているところ」みたいな感じの意味になるんだろうが、検索した感じではそれっぽい用法が見いだせなかった。せめてちくま三國志でも持ってりゃ違うんでしょうけどねぇ……ううむ。

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