壁サークルのトイレさん
クファンジャル_CF
第1話 我輩は壁サークルである。名前はまだない。
というわけで我輩は壁サークルである。らしい。
よく分からぬのだが訪れる人間たちの話を総合するとそのようになる。
我輩の居場所は東1。ビッグサイトに入ったら左折し、渡り廊下を抜けて最初の階段あるいはエスカレーターを降りた先を右に曲がったところだ。そこからさらに右に曲がると我輩に会える。通例ではA1に位置するのサークルからさらに左手となるな。
我輩は男子である。そのはずであるが、あるイベントの際には状況が変わる。なんと期間中は女子に性転換することを強いられているのだ。なんでも女子が足りぬからだとかなんとか。
年中二十四時間体制でここにいるが、特に忙しいのは夏の盆のころと年末に行われるイベントの際だ。この時こそ我輩の壁サークルたる所以となる、長い行列ができる。強制性転換の刻だ。
行列は途切れることなく3日3晩続く。いやそれはちと言い過ぎか。されど昼の間は本当に途切れることはない。我輩も大忙しだ。捌いた客の数は全サークル中最多と自負している。
うん?我輩のサークル名?そう言えば言っておらなんだな。
我輩は、トイレである。
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