ネットの上のラプンツェル

若星 明花

第1話 オタクと叶わない夢

皆さんは、塔の上のラプンツェルというディズニー映画を知っているだろうか?親によって塔

に閉じ込められた髪の長い主人公(姫)が、泥棒(王子)によって助け出され、ハッピーエンドになる話だ。これは同じくネットという塔に束縛されたとある髪の長い女子高生の話である。






帰宅。だが、「ただいま」とは言わない。何故なら帰っても誰もいないからだ。



今日もスマホを見ると、ネットに書き込みがしてある。出会い系サイトは危ないというけれど、帰ってからの私の居場所はここしか無い。


そう書いていたら私はただの陰キャでしかないかもしれないが、学校では圧倒的に陽キャであり、かえってうるさがられるくらいだ。



私の名前は長野咲。アニメとゲームが好きな、現役JKだ。ネットでは、「hime」というユーザーネームだ。私の一番の特長は天然パーマのウェーブのかかったこの長い髪の毛。よくハーフと思われたりとか、高校に入った時はパーマをかけていると思われて叱られた時もあった。


そして現在演劇部で部長を勤めている。私の両親は共働きで、帰って来るのも夜遅い。だから、帰って来るまで私はゲームとか、アニメとか、ネットの世界に入り浸るのだ。今日もそのつもりだったが、そろそろ台本のセリフを覚えなければならない。


なにせ私の将来の夢は女優になることなのだ。夢中になって台本を読んでいると、親が帰って来たらしい。


「咲~!?勉強してるの~!?」


いつものセリフだ。私の親は私の夢を理解してくれない。女優になるために、専門学校や芸術大に行こうとすると、決まってこう言う。


「お金が無いからダメ。」


と。だが、生憎私は夢を一つしかもたず、その道を信じて進んで行く主義で、それ以外の夢は持たないと決めていたのだ。

そして、両親以外の人は張り切って私の夢を応援してくれていた。

そうだ。夢なんてなんでもいいじゃないか。親に子供の将来を決める権利なんて無いはずなのになんで勝手に決めつけるんだろう?


私にはそれがわからない。

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