第8話妊娠

 

 日菜子は産婦人科に行って検査を受けた。

先生「おめでとうございます。おめでたです」

日菜子「ありがとうございます」

先生「ぜひ産んでね」

日菜子「はい、絶対に産みます」

 日菜子はこの事を輝幸に告げた。

日菜子「私、あかちゃんができたの」

輝幸「・・・」

日菜子「産んでもいいよね」

輝幸「堕ろしてくれないか」

日菜子「嫌よ、私一人でも産むわ」

輝幸「いまは、まだ二人共若いし、経済的にも苦しいし、もっと先にしようよ」

日菜子「嫌よ、私一人でも産むわ」

「結婚式も来年6月に決まっているし。それからでいいじゃあないか」

「嫌よ、私一人でも産むわ」

「わかった、産んでもいいよ。結婚式もキャンセルしないといけないし。別の式場を探さないといけない。まず、結婚式は1月にしよう。5カ月だったら母体への負担も少ないだろう」

 結婚式は1月できまった。式場は堺市の『大安殿』ですることになった。

 打掛けも、ウエディングドレスも2種類から選ばないといけなかった。6月に考えていた結婚式と比べたら随分と質素な結婚式になったが、日菜子は充分満足だった。

 あかちゃんは、最初の診察から「切迫流産」と母子手帳に書かれた。2週ごとの健診のたびに、「切迫流産」と書かれた。

「切迫流産と書かれるのよ」

「ネットで調べたら安静にしていなくてはいけないらしいね、飯と洗濯と掃除に毎夕来るよ」

「ありがとう、助かるわ」

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