本人に読まれないけど

貴方がいなくなって1週間経ちました。


あの日は土曜出勤で、心も体も死にそうでした。

「でも来週は俺の好きな茶武希子のライブがあるから死ぬわけにはいかない」と自分を鼓舞してネクタイを締めた時でした、貴方の行方不明が速報として流れてきたのは。


その日の夜のニュースでは、貴方の遺体発見と死因が自殺であるという報道がなされていました。今もSNSは貴方への追悼で溢れています。


茶武希子さん。新しいアルバム出したばっかりじゃないですか。貴方の悲しい歌声で、何人も救ってきたじゃないですか。それなのに独りで逝くなんてあんまりです。

もう茶武希子の「次」は無いのですか。未だに貴方が死んだなんて認めたくありません。テレビでは貴方の追悼番組が放送されました。新しいアルバムを提げたライブツアーチケットの払い戻しが行われました。

貴方に対して「お疲れ様」や「どうか安らかに」という気持ちはあります。契約などの様々なしがらみがあったと思います。でも、自分で自分を殺すくらいなら休んでもよかったのではないでしょうか。もう二度とステージに立った「皆が愛する茶武希子」が見られなくなるよりずっと良かったんです。


R.I.P.茶武希子

貴方が受けたこの世の苦しみから解放されて、あの世では幸せになってることを願っています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る