僕と彼女

雷坂希濤

第1話

  パソコンで文字をただひたすら打っていた夜、スマホにメッセージが届いた。僕はそれをなれない手つきでスワイプして、誰からのか確認する。僕の人間関係は、一年前にぶち壊れた、この一年間、ただ後悔だけが僕を生かしていたのも過言ではないだろう、その理由は。恋に似た友情、友情に似た恋、ただ一つ、あの子に許してもらう前に。

 僕はスマホを見たとき、何か胸の底からこみ上げて来た、湧いてくる水とか、噴火する火山のマグマのように。

 そのメッセージは、あの子からだった。簡潔に一言、僕に言ってきた。

 私のこと、嫌い?

 聞かれて、胸が痛くなった、どうすれば分からなくって、戸惑う。嬉しいはずなのに、怖い、もうとっくにあの子の接し方を、忘れてしまった。かつて切り離されたから、もう一度仲直りして、また切り離されるのが怖い自分が僕のことを嘲笑っていた。ビデオみたいに流れるあの子との過去の記憶、嫌われた絶望感、クラスから浮いたような恐怖。その全てが、気持ち悪い感情に変わって、侵食されそうだった。

 彼女のメッセージは続いた、僕は少し待つことにした。


 実は今ね、君の誕生日カードを書いてるんだ、バカでしょ、嫌いって言ったのに。

 そしたら急に考え始めて、何やってるんだろうって何度も思った。

 でもそれがきっかけで、考え始めたの、どんどんどんどん、変な気持ちになってきて。

 私はもう、気にしてない、君と仲良くなりたい!これから先も、ずっと。

 だから、ここから!よろしく!私は×××××××


 はち切れそうな風船みたいに、なりそう。なんといえば分からない、この一年、全てがこの一瞬で、覆された。近づいて来た希望を、掴むか掴まないかは、僕だ。ずっと望んでいた希望が、目の前にある。嫌いな訳がない、むしろ仲直りして欲しいもんだよ。僕は、考えた、何度も、考えた、負荷を超えたパソコンのように、限界を超えそうな感じがした。

 気づいたら、泣いていた、小さな涙が、一粒、それだけが、流れた。きっとその中に僕の感情の全てが、詰まっているのだろう。僕は、彼女に、伝えた。


 僕は、君と


 そこで一回送信して、最後の一文を、打ち込んだ。

 全てが救われた気がした、救済を得た信仰者のごとく。

 もう一度、初めから全てを、君と、始めたい

 そしてもう一度だけでもいい


 君のことを、初めから好きになってみたい。


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