女勇者りったんが行く5~パーティー組むわよ!

「そうだ、パーティーを組もう」

 ある日りったんは唐突にそう思いました。

 決してぼっちが淋しいからではありません。大きなクエストをこなすにはチームプレイが欠かせないと悟ったのです。

 さっそくハロワへ行ってみました。

「今、人材不足だから、契約金とかけっこう高いよ」

「それなら村人をレベル1から育てて転職させればいいのよ。あたしって頭良い!」

 なんとか予算内で3人ほどゲットできましたが、

「女子高生レベル1っす。ダンジョン行くとかマジめんでぃー」

「老人レベル1ですじゃ。持病は高血圧とリューマチ」

「ニートレベル1。ネトゲならモンス狩りまくりで俺最強」

 ろくなのがいません。

 彼らは役に立たないばかりかメシばっか食うので、りったんは今までの4倍働くはめになりました。

「……つらいけど、こいつらが転職するまでの辛抱よ」

 やがて念願どおり全員がレベル10になりました。

「さ、早く教会で転職してきてちょうだい。やっぱ戦士・僧侶・魔法使いのパーティーが鉄板よね。でも格闘家とのツートップも良いかも」

 夢がふくらむりったんです。

 ところが……、


 女子高生はアラシックに転職した「VS翔たんがニノにデレてて萌えハゲるー」

 老人はリタイアメントに転職した「老後は年金もらってタイで暮らしますじゃ」

 ニートはラブライバーに転職した「絵里と、海未と、真姫と、ことりは俺の嫁」


「あ、あんたら……なに勝手なもんに転職してんのよ」

 唖然とするりったんをよそに、

「とりまイチキター」「お世話さまでしたじゃ」「矢澤こころも俺の嫁」

 3人はそれぞれ村へと帰ってゆきました。

「うう……人生がつらすぎる」

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