女勇者りったんが行く3~今度こそ転職するのよ!

 りったんは転職するため、町外れにある教会を訪れました。

「ごめんくださァい」

 声をかけると、中から黒服でサングラスをかけた司祭が現れます。

「ヨウコソー」

「わたし王女に転職したいんですけどもォ」

 いい年してブリっ子をするりったんです。しかも、かなり身の程しらずのようです。

「……魔女ノホウガ似合ッテマスガー」

「失礼ねっ!」

「トリアエズ、コチラヘドウゾー」

 りったんは地下室へ連れてゆかれました。そのまま鋼鉄製のイスに座らされます。

「ソレデハ転職ヲ始メマスヨー」

 手足を拘束され、電極のついたヘルメットをかぶせられました。

「これって……電気イスじゃないよね?」

「オシッコ漏ラサナイデクダサイネー」

「ちょ、待ちなさいってば」

「スイッチ、オン!」

 司祭はイスにある赤いボタンを押しました。途端にりったんの髪の毛が逆立ちます。

「あべべべべっ」

「オー、面白イ顔デスー、モット電圧上ゲマショー」

 司祭は出力つまみをぐいっと捻りました。りったんの目玉がびょーんと飛び出します。

「へぎょおおおっ」

「サア、ソロソロ転職スルハズデスー」

 しかし彼女の体には何の変化も起こりません。司祭はちょっとあせりました。

「アレレ、ドウシタンデショー?」

 試しに出力をマックスまで上げてみました。今度はりったんの体からぶすぶす煙が出てきます。

「ぴげえええっ!」

 ここへきて司祭はようやく気づきました。

「……シマッタ、操作ノシカタ間違エタヨウデスネー」

 しかし時すでに遅し、りったんはイスごと大爆発を起こしました。

 ドッガーン!


 その後この教会では、たびたびりったんの幽霊が目撃されるようになりましたとさ。

「うらめしやっ!」

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