おうさま

[佐藤悠基&石川実里&清水柊&伊藤薫子]

『メリークリスマース!!』

「いやー無事にクリスマスパーティーが出来て良かったよ」

「ほんとだね、よかったよかった」

「あたしはダメだと思ってんだけどなー」

「先輩、お疲れ様です……」


テストの結果は良かった!……とは言えないものの、平均点を超えていた。

(ちなみに薫子は90点以上だったらしいし実里さんも90点近い点数だって聞いて絶望しかけたけど)

「そ、そういえば、柊さんはテストどうだったの?」

「あ、私は……85点、でした……」

「あぁぁもうダメだ……」

「そ、そんな……先輩も、悪い点数じゃ、ないですよ……!」

「柊、それは今の悠にとっては辛い言葉だよ……」

「あっ、すいません……」

「ゆ、悠基くんも頑張ったんだから良いと思うよ!?」

「期末テストも頑張ります……」

「頑張れ~」


ぐだぐだの中始まったクリスマスパーティーだが、学校の部室が会場のため、盛大に出来るわけでもなく……

お菓子や自販機のジュースで「パーティーっぽく」演出しているわけで。

それでも、みんなこの雰囲気を楽しんでいた。


「いやー、クリスマスパーティーっぽくないねー」

「薫子……それみんな思ってたから言わないで?」

「ごめんごめん、つい、ね?」

「学校だからしょうがないよね、どこか遊びに行ければ良かったんだけど……」

「私は、全然、大丈夫ですよ……これもこれで、楽しい、ですし……」

「まぁみんな家族との豪華な夕食が待ってるからしょうがないね」

「街中いってもどうせカップルだけだって〜」

「確かにそうだね……」

「と、とりあえず!クリスマスパーティーと言ったらプレゼント交換だけど、いきなりプレゼント交換したらパーティーが終わっちゃうからなにかゲーム、しませんか?」

「お、いいね~」

「いいよ~」

「いい、です」

「じゃあ…………何する?」

「決まってなかったのか……」

「トランプとか、ないからね……」

「本しかないね……」

「確かに、そう、ですね……」

「物を使わない遊び……」

「王様ゲームとか、どうだ?」

「王様ゲーム……」

「王様ゲームね……」

「王様ゲーム、ですか……」

「なんだよ……」

「いや?いいと思うよ」

「私もいいと思う」

「いいと、思います……」

「じゃあなんだこの空気……」


[佐藤悠基]

王様ゲーム……か

いや、ルールは知っている。

でも……

ちょっと、あれでしょ?

なんか、ね……?

こう……さ、

好きな人はいるのー、とかさ、

そういうこと、聞いたりするんでしょ?

ちょっと僕にはレベルが高いなーって思うよね……

仲良くなれる分にはいいんだけどさ……


[石川実里]

王様ゲーム……

ここに来てチャンス到来だよ!?

もしかしたら悠基くんと距離を縮めることが出来るかも!

薫子ちゃんにはまけないよ!


[清水柊]

王様ゲーム……

やったことはないけれど一応ルールは知っている。

あんまり私に向いてるゲームじゃないことも知っている。

先輩達に失礼のないようにしよう……


[伊藤薫子]

咄嗟に王様ゲームとか言っちゃったけど、本当に良かったのだろうか……

まぁ皆否定しないし……

あ、あたしだって悠と……さ?

も、も、もしかしたら距離とか?縮まるかも知れないし……

運だけど……


[佐藤悠基&石川実里&清水柊&伊藤薫子]

「じゃあ、王様ゲーム、始めます」

『はーい』

「机の上に、3つ折りした紙が4枚、置きました。紙には王様の冠と、数字の1、2、3が書かれてます。王様の冠を引いた人が王様で、数字を言って命令するって感じです」

「おっけー」

「わかったよ」

「なるほど、です」

「じゃあ……引く順番とか、決める?」

「だっさなっきゃ負っけよーじゃーんけーん」

「ぐー」

「ぱー」

「ぱー」

「ぐー」

「えーっと?実里さんと薫子の勝ちだね」

「実里!負けないよ!」

「わ、私だって!」

「なんか、凄く白熱、してますね……」

「そ、そうだね……」

『じゃーんけーん!』

「ちょきー」

「ぐー」

「お、実里さんの勝ちだ」

「やったー」

「ぐぬぬぬ」

「いや、別にじゃんけんで王様決めるわけじゃないからね?」

「そう、ですよね……」

「えーっと、じゃあ引く順番は実里さん、薫子、柊さん、僕の順番でいいかな?」

「あ、えっ、せ、先輩?いいんですか?」

「いいよいいよ、レディファースト、だよ?」

「あ、ありがとうございます……」

「じゃあ1番目、私引きます!」

「2番目、引きまーす」

「3番目、引き、ます……」

「最後、貰うね。じゃあ、王様は……」

「はい!あたしだ!」

「うぅぅ……じゃんけんで運使っちゃったかも……」

「あ、あははは……」

「先輩、次がありますよ……!」

「じゃあ……命令はねぇ~」

『…………』

「2番の人の好きなタイプを教えて!」

「私は2番じゃないよ」

「わ、私も、です……」

「僕だ……」

「好きなタイプを教えて!」

「……」

「……」

「す、好きなタイプ、ね……えーっと……うーんっと……」

「早く言いな!」

「ちょ、ちょっと待ってくれてもいいじゃないか!」

「あたし、でもいいんだよ?」

「お、おまえ!よくそんなこと言えるな!」

「だってぇ?まだちゃんとした答え、貰ってないし~」

「こ、答えたじゃないか!」

「あ、あの~」

『なに!?』

「……なんのことを言ってるの?」

『あ。』

「べ、別に何でもないよ!?なぁ薫子!?」

「そ、そ、そうそう!なんでもないから!ね?悠?」

「気になるんだけど……」

「わ、私も、気になります……」

「あーもういい!言うから!言っちゃうからね!」

「え……?薫子……?」

「悠は!!あたしのもの!ってこと!!!」

『???』

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