おでかけ

[石川実里]

えぇぇー!?

清水さんが……?風邪を……?引いた……?

これってこれってこれってぇぇ!!

明日のお出かけ……佐藤くんと……2人……きり……?

………………。

いやいやいや……さすがに中止だよね……

みんなで行ったほうが楽しいし、親睦会になるし。

2人で行ってもあんまり意味ないもんね……。

…………2人で行きたかったなぁ。


[佐藤悠基&石川実里&清水柊]

「ごめんなさい、風邪をひいてしまって」

「ううん、大丈夫だよ。それよりも、あの後大丈夫だった?」

「はい、おかげさまで。ありがとうございました」

「清水さん、無理しないでね?お出かけはいつでも行けるから今は治すことに集中してね」

「石川さんも、ありがとうございます」


[佐藤悠基&石川実里]

石川さんから、個人チャットが来た。

「すいません、佐藤くん。明日のお出かけは中止でもいいですか?」

「うん、清水さんが風邪をひいちゃったからしょうがないもんね」

「ざんねんです」

「僕も。結構楽しみにしてたのにな」


[石川実里]

楽しみにしてた、か……

それは私だって……

明日のために、色々と考えてて……

……ここはいくしかない、か。

清水さん、ごめん。

抜けがけ、させてもらうよ。


[佐藤悠基]

楽しみにしてたのは事実だ。

僕は友達とどこかに遊びに行ったりするのをした事が無かったから。

でもしょうがない。

二度と行かないというわけじゃないから……。

次があるさ。


[佐藤悠基&石川実里]

「あ、あの、話したいことがあるんですが」

「うん?なに?」

「もし良かったら、明日のお出かけ私達だけでも行きませんか?」


[石川実里]

あぁぁぁぁ送っちゃったぁぁぁ

指が、まだ、震えてるぅぅ

私はひたすらベッドの上でごろごろした……。


[佐藤悠基]

えっ……

これってもしかして……デートのお誘い……?

……いや、ただの親睦会だろ……

あれかな?

どこか予約してた場所があってそれが勿体ないからとか?

それとも、せっかく計画したのに壊れるのが勿体ないから?

……僕、同じこと2回言ってないか……

まぁ……行きたくないわけじゃないから……

うん、行こう。


[佐藤悠基&石川実里]

「僕でよければ、いきますよ」

「ありがとうございます。次の親睦会のリハーサルって事で、よろしくお願いします」

「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」

「集合時間と場所は変わらずです。それでは、おやすみなさい」

「了解です。おやすみなさい」


[石川実里]

やっっったぁぁぁぁ

ってはしゃいでる場合じゃないっ!

明日の!準備!

着ていく服迷うぅ〜


[佐藤悠基]

リハーサル、そうだよな。

何をデートと勘違いして……

でも傍から見ればデートでは……?

……着ていく服、何にしよう……



次の日。 デート当日。 9時30分 駅前にて


[佐藤悠基]

やばい、早く来すぎた……

集合時間の30分前はやりすぎか……?

変に期待してるって思われるかも……?

いやいや、遅れるよりはマシだろう。

初めて、友達と、それがしかも女の子と2人きりで……

緊張でどうにかなりそうだ……他のこと考えよう……


[石川実里]

やばいやばいやばい……

佐藤くんの、私服姿……かっこいい……

9時30分は早すぎたかなって思ったけど佐藤くん、既に居て本当にびっくり……

少しでも期待しててくれたのかな……?

そうだったら嬉しいな……

素敵だなぁ……かっこいいな……

って、こんな調子なら遊びに行けないよ……

身だしなみ、しっかりして。

よし、行こう。


[佐藤悠基&石川実里]

「あ、あのっ、遅れてすいません……」

「い、いえ、僕が早く来すぎただけだから……。こちらこそごめん……」

「……そこは今来たとこって……」

「ん?」

「ううん、こっちの話だから気にしないでっ!」

「それより……石川さんの私服姿、初めて見た……なんか、いつもの石川さんじゃないみたいだね、似合ってる」


[石川実里]

えぇぇぇぇ!えぇぇぇぇ!えぇぇぇぇ!

それってぇぇ!それってぇぇぇ!?

やばいやばい顔にやけちゃう……

そんな、不意打ち……ずるい!!


[佐藤悠基&石川実里]

「あ、あ、ありがとうございます……って佐藤くんだって私服姿、初めてだよ!なんか……かっこいい」


[佐藤悠基]

えぇぇぇぇ!えぇぇぇぇ!えぇぇぇ!

それってぇぇぇ!それってぇぇぇ!?

言った僕自身、自然に出てきた言葉だから照れたりしなかったけど、言われるのは……

本当にやばいっ!

あぁぁぁぁ

今日のお出かけ終わったら果てそう……


[佐藤悠基&石川実里]

「あ、えっ、あ、ありがとうございます……」

「いえいえ……」

『………………』

「じゃ、じゃあ、ど、どこ行こうか!?」

「え、えっと、ですね……最初は映画館ですっ!」

「あ、あぁ!あの有名な小説の実写化か!」

「そ、そうです!それです!」

「じゃあ、行こうか!」

「はいっ!」


ぎこちない会話を終え、2人は映画館に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る