模索 5
ちーママが化粧に現れ入念に女装を施された。車を探偵が手配してくれ日暮れにホテルに入る。マネージャは今回はわざと東京中を走り回ってもらった。やはり関東のやくざが張り付いている。彼らは頭取は役に立たぬと『白薔薇』のママを手にし頭取を脅す方向に回ったようだ。多大の不良債権が大きく圧し掛かっている。
「どうだ?」
「来ると思った」
すでに鞄に荷物をまとめ男に戻っている。これは探偵が昼に準備して運び込んだのだ。
「なんだか恥ずかしいわ」
「妙な気分だな」
男と女が入れ替わっているのだ。
「腸の腫れは引いた?」
「もう出来るわ」
1時間10分前に隣の部屋に移って料金の精算を済ませてそのままホテルの外に出る。車のドアが開いて乗り込む。運転手は探偵だ。
「作戦を変える必要が出てきたと思う」
「私もそう思う。もう頭取と戦うのではなく、最後の花道を手伝おうと」
「そうだな。恩返しをすべきだな。色々とあの頃のUSBを見ていると本当に頭取の夢をかなえようとしていたと思うんだ」
「私も最後まで頭取の女で生きようとしていた。裏切ったのは私達よ。もし頭取が修司を殺そうとしなかったら別れる気でいた。頭取も反省していたわ。あそこで嫉妬したと」
「取りあえず私のホテルでしばらく身を潜めて作戦の練り直しだ」
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