背中が見える 7

「なんか変な気がするわ」

 久しぶりに姉さんと集金に出かける。

「髭がないと様になりませんかね」

「なんかちょっと惚れそうな気がするんや。番頭のママの店ちょっと覗いて見たんやけど、ヤバイ感じがするのや。まだ貸し付けが650万残ってるので心配や」

「そやなあ。一度調べてみるか」

 二人で定食屋のカウンター越しに話しかける。

 棚の上の映りの悪いテレビを時々見上げる。

「銀行員の自殺みたいやね?」

「S銀行や」

 箸を止めてボールペンを取ってメモを取る。S銀行本店総務課長・・・。丸の内の本社ビルが映る。ここも記憶がある。店の電話を借りてやっさんに電話を入れる。

「S銀行の本店の課長の自殺テレビで見たんやが、あの記者に詳しく調べてほしいと伝えてや」

「何か関連があるのか?」

「分からんが、引っかかるものがある」

「そうそう、ついでだがあのタクシー会社から指値が出たぜ。今日若頭が本部に持って行った。ただ下手をすると関東と関西のやくざ戦争になると心配してた。伊藤に会ったらしいな?」

「ああ、ずいぶん焦っているように見えた」

 私を追いかけているのは伊藤に違いないその思いを強くした。









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