Wonderland Life
fall in ……
Drift1 転移
「いてて、なんだぁここは?」
あー畜生! あの施設、爆発しやがった。流石にぶっ飛ばされて痛いが大した事は無い。
ただここは何処だ? 少なくとも地球じゃないな。
「世界中回ってるがこんな所は見たことねぇ。差し詰め『異世界』ってところか」
安直だが異世界だと言い切ってしまおう。なんせ空気が違うのだ。
何でそれだけで言い切れるかって? 私は化物だ。人間より敏感なんだよ、人間の感覚と一緒にするな。
「オペレーター? おい?」
『……』
「はー、やっぱダメかー」
案の定、通信できない。この通信機は地球の裏側だろうが地下深くだろうが、マリアナ海溝の底だろうが通信できる。それに爆発くらいでは壊れない。それが繋がらないなら異世界で確定していい。
「あーもう! 四の五の考えるのは性に合わん! とりあえず進む! 化物がいたらぶちのめす! 街があったら酒飲む!」
面倒くさい事は後回しだ。とりあえずうるさい組織から離れられた、これは事実。
ゆっくり休暇と洒落込もう。
「ふんふふーん。しっかし如何にもファンタジーだなぁ、森の小道から始まるとかベタ過ぎるだろ……」
これなら雑魚モンスターとか飛び出して来てもおかしくない。むしろ大歓迎だ、暴れさせろ。
「スライム が あらわれた ! ……なんてな、あははは」
最近暇つぶしにRPGをやっているせいかあまりこの世界に違和感がない。むしろ楽しい。
「! よっと! おいおいホントにいるのかよスライム……」
後ろから襲ってくるとは中々面白いヤツじゃないか。まぁ予想通り雑魚だったが。
「これじゃ経験値はしょっぱいだろうな」
もっと強いヤツ出ろよ。それこそオーガとかドラゴン! とかさ。
「って、思ってたらホントにいるよ……ん? 誰か襲われてるな。うわ、ガキじゃん……」
助ける義理なんて無いが、案内人にしてやろう。それにあのガキ中々可愛いじゃねぇか。男の娘とかショタって奴だ。
「助けてやって、案内人させて、良いように使ってやるか。うへへ……」
決めたら速攻だ。距離はあまり無い、脚に力を込めて……
「とおりゃあああ! ふんっ!」
まぁいわゆるライダーキックでオーガの頭を蹴り抜く。掛け声は何となくだ。ちょっと格好良く演出した方がガキにはウケるだろ。
「大丈夫かな〜ボク?」
猫なで声でガキに話しかける。まぁこれは普通にこのガキが可愛いからだ。優しくしてやろう。
「ひっひぅぅ……怖かったですぅぅ……」
「泣かない泣かない、大丈夫だから」
うお、超可愛いじゃん。犯罪的だろコレ。
落ち着くまでとりあえず待つとするか。
「あの、おねえさんはどこから?」
「あーっと、ちょっと複雑なんだよね」
「? どういう事です?」
「率直に言うとココじゃない世界から来たんだよ」
ストレートにいっておこう。はぐらかすのは面倒くさいし。
「うーん、信じがたいけど助けてくれたから悪い人じゃなさそうなので信じます」
うわぁ、純粋だ。庇護欲が出てくるね。
「そっかそっか、信じてくれて嬉しいよ。色々分からないから教えてくれるか?」
「は、はい! それはもちろんです!」
話を聞くと、冒険者ギルドなるモノがあるようで、このガキはそのギルドの依頼を受けて薬草を採取中にオーガに出くわし、腰が抜けてどうしようも無くなった様だ。
よくあるパターンである。しっかし、いくらなんでも仲間の一人や二人いてもいいものだろうが?
「ボクは弱くて、誰もパーティーに入れてくれないんです……だからEランク任務しか受けられなくて……」
「そっか、大変なんだな」
「あ、あの! 良かったら一緒にパーティーに……って無理ですよね。おねえさんは強いのにボクなんかが入ったら……」
あー、大分弱ってるなぁ。可哀想に。だが案内人と良いように使うためにパーティーに入ってやろう。
「別にいいよ。特に目的もないし」
「! ホントにいいんですか!」
「でも、おねえさんこの世界はよく分からないから案内人して欲しいんだ。それと身元の保証、それをしてくれるなら、だけど」
「はい! それならなんとかします!」
「ありがとうな」
よし、案内人と身元保証は出来た。これから異世界ライフといこう!
とりあえずこのガキには甘々で行くとするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます