第194話恒例松田明美VS今西圭子のバトル、華音と官房長官の過去

官房長官、公安庁の長官、地元の警察署長との話を終え、華音たちは杉並の屋敷に帰宅することになった。

尚、松田明美の懸念した大型バイクへの一人乗りは、柳生隆がその役を引き受けることになった。


ホテルから、吉祥寺駅まで歩き、井の頭線に乗り込む道中となるけれど、シルビアと春香は、文句タラタラになっている。

シルビア

「華音!勝手に明美さんと自分たちだけで解決して、どういうつもり?」

「私たちの出番を無視したってこと?」

春香

「それは華音の説法は間違いないけれどさ、置いてきぼりが気に入らない」


そんなシルビアと春香に引いている華音に、今西圭子が助け舟。

「しかたないよ、一刻を争う事態だったんだから」

「華音と松田明美の判断というよりは、立花管理人の判断」

「さすがよね、あれが大人の男」


華音は、いきなり叱られたり何やらで、珍しくムッとした顔。

「ふん!まだ15歳だもの、年下と思って、ゴチャゴチャうるさい」


松田明美は、ニコニコとしている。

「まあまあ、無難に解決したし、これは金一封が出るかなあ」

「何に使うかなあ、洋服買うかな、ドレスもいいな」

そして華音の顔を、よりニンマリと見る。

「ねえ、華音ちゃん、あんな文句ばかりいっている女どもはどうでもいいからさ・・・」

「二人でデートしない?」


華音が、「ポカン」となっていると、今西圭子の血相が変わる。

「それは却下します、文化庁として」

「華音ちゃんの書籍の整理もようやく終わった段階」

「華音ちゃんは、これから、一冊一冊、その書籍の解読と分析もしないといけないの」

「うん、私がつき合うからダメ、明美なんかとのデートなんて暇はない」


シルビアと春香は、ここで頭を抱えた。

シルビア

「また明美さんと圭子さんの、華音争奪戦だよ・・・」

春香

「二人とも理屈になっていない・・・メチャクチャな理由で華音を取り合う」

シルビア

「お互いに華音を取り合って、譲らなくて小さな時だったけれど、華音のTシャツが破れたことがあった」

春香

「それで華音は泣き出すし、どっちがTシャツを縫うかで、またバトル」

シルビア

「隆さんが気を回してバイクに乗ったりするから・・・」

春香

「うーん・・・超面倒、人目もあるしさ、何とか話題を変えよう」


頭を抱えて考えていたシルビアと春香は、同時に一つ思い出した。

シルビアと春香が、そのまま険悪な松田明美と今西圭子の脇をすり抜け、華音の両隣をゲットし、華音に声をかける。

シルビアはキツメの口調。

「華音、官房長官とはいつから?私知らないよ」

春香も結局華音を責める。

「華音って、秘密主義?子供のくせに」


松田明美と今西圭子のバトルにすっかりヘキエキしていた華音は、ようやく口を開く。

「ああ、えっとね、5歳か6歳ごろから知ってる」

「祖父さんと横浜に遊びに行った時にね、案内してくれたの」

「あの当時は、官房長官は国会議員になっていたかな」

「祖父さんは、市会議員の時から応援しているみたい」

「祖父さんが言うのには、とにかく親切丁寧で、信頼が置けて、妥当な判断を下すから、大きな仕事ができる国会議員になったほうがいいということで応援したみたい」


松田明美、今西圭子、シルビア、春香は、珍しい華音の政治に関する話を聞くだけの状態になっている。

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