第2話華音の挨拶、自己紹介は定番だったけれど・・・
三田華音は、まずクラス全員にゆっくり、ていねいにお辞儀。
そして、再び姿勢を正し、
「おはようございます、そして、はじめまして」
「三田華音と申します」
「本日から、皆様と一緒に、この学園、このクラスにて、学ばせていただきます」
「何分、不慣れなことが多くありますので、何かとご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします」
との自己紹介、そして挨拶をする。
自己紹介、挨拶の内容としては、「全く定番、面白くも何ともない」もの。
しかし・・・その自己紹介、挨拶を受けた学生たちは、まず硬直状態、そしてざわついている。
「ねえ・・・あの華音君の顔、光っている」
「うん、超美人だよ、確かに可愛いというより美人」
「背は高くなく、低くもない」
「太ってもいなく、やせてもいない」
「・・・普通の挨拶だよね・・・」
「そう、定例文句・・・」
「でもさ、引き付けられた・・・全部、聞いた」
「なんか、落ちついていて、やさしくて癒し系の声」
「もっと、話してもらってもいいなあ、あの声なら」
少々ざわついた中、誰かが拍手を始めると、全員がそれにならう。
すると、三田華音は、恥ずかしそうな笑顔。
「拍手、ありがとうございます」
「とても、うれしいです」
と、またしても、やさしげな声。
すると、またクラス内がざわつく。
「・・・笑うと、可愛い」
「ほんと・・・あらーーー・・・ドキドキする」
「大口開けて笑うタイプじゃないね」
「お上品系の男の子だ」
「あの子と、デートしたら、私もお上品になるかも」
・・・・よくわからない反応も女子学生たちには出てきている。
そのようなざわついた中、萩原担任が再び教壇の中央に立った。
そして、クラス委員長の雨宮瞳に声をかけた。
「華音君の席は、取りあえず、雨宮さんの隣」
「まずは、雨宮さん、華音君が慣れるまで、教えてあげてください」
萩原担任は、次に華音に、
「それでは、華音君、雨宮さんの隣に」
華音は、萩原担任に、小声で「はい・・・」と答え、雨宮瞳の隣まで歩き、しっかりと頭を下げ、席についた。
萩原担任は、また教壇で
「それでは、本日のホームルームはこれにて、おしまい」
「それぞれ、一限目の授業の準備を」と話し、教室を後にした。
すると、また教室がザワザワ、と言っても、転校生の華音への質問が集中することになる。
「ねえ、華音君、どこからなの?」
華音「はい、奈良からです」
「奈良の生まれなの?」
華音「はい、西の京って言って、薬師寺とか唐招提寺の近く」
「へえ・・・歴史古いねえ」
華音「そうですねえ、確かに相当古い地域です」
・・・などなど、普通と言えば普通、スンナリと言えばスンナリと話が続いていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます