「詩集 永劫」(11月)

舞原 帝

1.壁

生と死を隔たる壁は存在すらしていない

そう考えるのは「死」こそが

本当の意味での別次元だと思うからだ


かつて宇宙はそう思われていたか定かではないが

人が行ける場所ではなかったのではないか

技術的に行けないということではなく

そもそもそこに行くという考えはなかったのではないか

だとするならば今では行ける我らが宇宙は

別次元とは呼べないだろうと私は考える

(仮に宇宙=行けないと考えられていたにせよ

現在では宇宙=行けるであるのなら

「宇宙」を本当の意味での別次元とは言えない)

つまり同次元であるからこそ壁は存在するのである

今となっては「存在した」その壁は人と宇宙を隔たっていたに違いない


ところがである

人は宇宙へと旅立ち帰還することができるが

人が死へと旅立ってしまえば決して戻ってはこられないのである

宇宙とは違い死はそもそも行ける場所ではないということだ

そしてそれはこれから先も変わることのない厳然たる事実

まさに次元が違うと言える


「あちら」と「こちら」は決して繋がってなどいない

だから壁は存在すらしていないのである

それでもあると言うのならそれは

乗り越えたいと願う想像が壁を作り出すのかもしれない

「生」と「死」にそうして繋がりを求めようとしているのかもしれない

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