第50話 物忘れサプリ

「ホッチキス食べる?」「……?」

「いらないの、ホッチキス?」

 頭の中ではサンドイッチ。


「蚊の大きなのいる!早く出して」

「……今窓開けるね。ボボンビでしょ?」

 頭の中ではガガンボ。

 脳内変換され、そのまま口にする。

 娘の軽蔑の眼になれたデバネズミ。


 店でもやらかす。仕上がりの電話。

 呼び出し音中、来客。受話器を置いて

「もしもぉ~し」なんか違う!短いわっ。

「いらっしゃいませ」じゃない!

 ツボに入ったのか……接客中、何度も笑う。

 お客様、ごめんなさい。誰にも言わないで。

 

「ねえ、ここ来たことある。私ここ来たよ

 もしかして、これが……デジャブー?」

 日本語覚えたての中国人のように興奮。

 ヴも言えないデバネズミ。


 残念、来たことありました。

 それはデジャブーではなく物忘れ。


 来年の母の日、買ってもらうもの決定。

 物忘れサプリです。

 忘れないように……ここに書いておこう!

 

 日記帳にしてごめんなさい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る