追悼②


 彼らに誘われた時、本当は心が揺らいでいたんだ。キースは魅力的だし、ミックのギターも好きだった。ただ、不安だったんだよ。ミックと比べられるのが、怖かった。埋もれてしまうと感じたんだ。後悔しているんだ。僕のせいで、ロンが死んでしまった。

――ジェフ・ペイジ――


 彼が死んでも、音楽は止まらない。彼らの功績は、永遠だよ。いつまでもその輝きを失うことはないだろう。ビートルズがそうだったように、彼らの音楽は時代を超える。どんな歴史にも邪魔をすることは出来ないんだ。

 彼らとのライブは、とてもいい経験になったよ。僕らに足りないものを教えてくれた。僕らは今、新たなスタートを切った所だ。キースが僕にそれを教えてくれたんだ。だから今度は僕がそれに応える番だ。彼らに負けない音楽を生み出す。いいや、そんな言い方は弱すぎるな。彼ら以上の音楽を生み出すよ。

                               ――トム・ボノ――


 死んじまったら意味がないのよ。私はずっとそう考えていた。どんなに偉大な人物でもよ。キリストだってそうよ。死んじまった今、その存在は意味をなしていないでしょ? けれどその考えが間違いだと気がついたのよ。彼らの死には、意味がある。彼の死は、永遠なのよ。今までの異業の全てを真空パックにしてしまった。私たちがこの先いくら頑張ったとしても、彼らのようになれるのかは不安だわ。違う音楽をしているとはいえ、音楽は音楽なんだ。新しくなにかを生み出すのは、大変なことなのよ。

                        ――ユッスン・ンデゲオチェロ――


 時代の始まりに立ち会えたことも、終わりを見届けたことも誇りに感じている。彼らとともに歩んだ人生だ。最後にその恩返しが出来ることを誇りに思っているよ。

                          ――ジョージ・スコセッシ――


 僕はまだ、キースと仲直りをしていない。こんな結果になってしまって、残念だよ。けれどキースは、素晴らしいね。あれほどの金のなる木はどこにもいやしなかった。

                   ――アンドリュー・ルーグ・エブスタイン――


 メンバーの一人としていられたことは、今でも誇りだよ。けれど僕には、重たすぎた。あれほどの重圧の中、生きた心地がしなかったね。それが事実だよ。

                            ――ミック・プラント――


 俺だけが生き残ってしまったことに、罪悪感を覚えている。俺はキースたちのためになにかをしたいと考えているんだ。俺に出来ることがなんなのか、今はまだ考察中だよ。

                       ――スティーヴン・ラブクラフト――


 私は一度、彼らに会ったことがある。それだけを誇りにして生きている。

                  ――バラク・ブッシュ(現アメリカ大統領)――


 ロンと僕は、兄弟のようなものだった。失ったものは大きいよ。けれど、ロンにとっては幸せなのかもしれないな。ロンは学生時代から彼らに憧れていた。そのメンバーになることが出来て、メンバーの一員として死ぬことが出来た。最高の作品を作り出し、最高のライブをしたんだ。満足していると思うよ。正直、羨ましいとも思っている。人生の最高潮で死ぬことが出来たんだからね。

――ロッド・マリオット――


 彼らが死んだからといっても、世界は終わらない。多少の変化は起こるかもしれない。けれど、それだけだ。誰だって、いつかは死んでしまう。人間とはそういう生き物だ。

                       ――トーマス・アインシュタイン――


 彼らのおがけで今の私があると思っております。こんな時代に生まれたことを、誇りに感じております。音楽が素晴らしいことに、彼らが気づかせてくれました。これからも私は彼らの音楽を聞き続けます。誠に残念です。彼らのような方たちは、二度と現れることがないでしょう

                       ――芳宮 秀憲(日本帝国皇帝)――


 音楽がなくても生きていける。僕はそんな世界で生まれた。彼らの存在は、ただの脅威でしかなかった。反権力者の文化だと感じていた。彼らが死ぬまではずっと、そう考えていた。けれどそれが間違いだと気がついた。彼らがいなければ、今の社会はない。僕は今の社会に反対をしている。けれど以前の社会よりは、まともになっているとも感じている。彼らは確かに、歴史を動かした。

                          ――田原 ムーア――


 この先の彼らを見てみたい気もしていた。けれど、彼らが落ちていく姿を見ていたくないとも感じていた。彼らはいつまでも新しく、転がり続けていた。けれど、年を取り過ぎているのも確かだ。落ちこぼれた彼らを見たくはない。これでよかったのかもしれないと、内心では思っている。

                        ――スティービー・ジャクソン――


 音楽には興味がないんだ。世間がこんなに騒ぐ理由がわからない。

                        ――ミッキー・ドナルドダック――


 彼らの死は、我が国にとっての大きな損失であります。彼らは我が国に大きな利益をもたらしただけでなく、この心に大きな希望を植えてくれました。彼の功績は永遠に語り継がれるものでしょう。彼らのために、勲章を用意しております。

                 ――エリザベス・ダイアナ(イギリス女王)――


 人は死んでも、その心は死なない。その真の意味に気がついたよ。彼らの死は、哀しむべきものじゃない。人はいつかは死んでしまう。けれど彼らの音楽は、死なない。生きていても、意味のない人間は大勢だ。

                             ――イ・ヨンジュン――


 永遠という言葉の意味を、初めて理解することが出来た。

                         ――マッティ・カウリスマキ――


 神様がいるのなら、どうして今なんだって問いたいね。彼らを神様の世界に連れて行くには、あまりにも不自然なタイミングだよ。俺が神様なら、もっと早くに呼び寄せていたはずだよ。ここまで長く生かしていたんだ。最後まで転がり続けて欲しかったね。動けなくなって、ステージ上で倒れるくらいにね。俺はそうなりたいと思っている。神様がいるのなら、お願いをしたいね。俺はこれから、彼らの分も生き続ける。そのためにもそっち側に呼び寄せないでくれってね。

                       ――ジェリー・リー・プレスリー――


 彼らは愛に満ちていた。それが全てなんじゃないかな? よくはわからないけど、それ以外の説明は無意味だよ。愛は、世界を変える力に満ちている。

                                ――林 広正――

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