その2 此処は何処だ!
痛いわけじゃない。
でも身体に何となく違和感。
何か身体がざわざわというかわさわさする。
俺は目を開けた。
知らない天井。
何が起こったのだろうとちょっと考えて気づく。
そうだ、俺は事故に遭ったんだ。
横滑りで吹っ飛んだ車にぶつかって。
でもこの天井はどう見ても病院じゃ無い。
寝かされているのは布団だし和室だし。
部屋は暗いがこれはカーテンが閉まっているせい。
外は昼のようでカーテンから光が漏れている。
それにしてもここは何処だろう。
少なくとも俺の家でも俺が知っている場所でも無い。
あの世だとしても何かイメージが違う。
雑然とし過ぎているのだ。
具体的には段ボール箱、まとめかけの雑誌、積んだままホコリを被った本。
更に投げ散らかした服なんて感じ。
なお服は女物。
俺は身体を起こして改めて周りを見る。
お、何か枕元にメモ発見。
どれどれと思いながら手に取ってみる。
『状態は後程説明する。取り敢えず家の外に出るな。食べ物は冷蔵庫に入っている』
何だこりゃ。
よくわからないまま俺は立ち上がる。
なお着ているのは見覚えの無いパジャマだった。
俺はこんなの買った事が無い。
ついでにいうとやっぱり俺はこの家を知らない。
投げてあるのは女性ものの服だ。
よく見ると下着もある。
でも俺は大人の女性には興味ないから別に関係無い。
小学生か中学生、せめて高校生くらいなら興味が湧くのだが。
そんな事を考えながら取り敢えず扉を開けて部屋を出る。
この家の居住者は汚部屋的な傾向がある模様。
廊下にも色々と物が落ちている。
ハンカチとか脱いだまま状態のストッキングとかそんな感じ。
何がどうなっているんだろう。
そして俺にいったい何が起きているのだろう。
この汚部屋的な家が天国か地獄だったらお笑いだよな。
俺は天国も地獄も信じていないけれど。
ふと動く物を感じて俺は左を見る。
何だ、鏡か。
洗面台の鏡だった。
でも俺は強烈な違和感を感じる。
理由はすぐにわかった。
鏡に映っているのが見慣れた俺じゃ無い。
右手を上げ下げしてみる。
鏡の中の男も手を上げ下げする。
着ているパジャマの柄も同じだ。
でもまだ即断するべきじゃない。
くるっと後へ回りかけたところで無理矢理身体を逆方向に戻す。
「これでどうだ」
偽物ならこの動きはついて来れまい。
そう思いつつ鏡を確認。
残念ながら鏡の中の男も同じ動きだった。
つられて回転してくれれば偽物だと判断したのだが。
いや違う。
そんな馬鹿な事をやっている場合じゃ無い。
洗面所内の洗濯籠にはブラとか女性物の下着が見えるがやはり無視。
俺好みの感じじゃない。
黒とかベージュの下着は嫌いだ。
白とか薄い青くらいが個人的には好ましい。
薄いピンクもアリかな。
スポブラも悪くは無いけれど。
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