第284話


『冒険者ギルドが閉鎖された』


『町の宿がすべて『売春宿』になった』


その二つが原因で、冒険者は他の町や村へと移動した。

その中で、さくらたちはダンジョン巡りをすることにした。


「ご主人。ここはどうでしょう」


「此処は10階までだっけ。

半日で出られるかな?

だったら、コッチも行こうか。

今からなら、ココのボス部屋の前で泊まろうか」


「ご主人様。ユリティアからの到着が3日とはいえ、そのあとに再開してから通常勤務に戻るまでの時間が必要です」


「んー。でもさ、『期間限定の依頼書』もあるだろ?

だから、一度ハンドくんに確認に来てもらおうか。

『依頼の取り消し』はともかく、『新規依頼』とか『急募』も出るだろうし。

みんなの場合、アイテムボックスには限度があるでしょ?」


そう。冒険者ギルドから支給されるアイテムボックスには『50個まで』しか入らない。

『50種類』ではないため、せっせと魔獣肉を使った料理を作っている。

・・・それでも限界が近くなる。

そうなると、ハンドくんに定額で買い取りという形をとっている。

そして、冒険者ギルドに売ったり依頼を受ける時に『ハンドくんに売った物を同額で買い戻す』というシステムをとっている。

ハンドくんは、ちゃんとフォルダを作って預かってくれている。

そして、そのまま不要なら冒険者ギルドに売っているのだ。


「どうする?みんなのボックス内に余裕があるならいいけど・・・

でもみんなは今日ここで『空きを作る予定』だったでしょう?」


「はい。それと調味料の買い足しもする予定でした」


「私たちも。調理油と調味料を購入する予定でした」


「そっちは2人分だもんね」


「ダメだよ。こういうトラブルを想定して、頻繁に使うものは新しいのを開封するとか、たまに使う物でも残量が半分になったら買い足さないと」


「はい。申し訳ございません」


〖 調理油も調味料も買い置きがあります。

足りなくなったら渡します。

後日、新しい物を購入して寄越しなさい 〗


「はい」


うーん。

以前、ハンドくんが『新しい物を買って返しなさい』と言ったら、ルーナったら『新しい物を買って、ハンドくんが渡した『使っている物』を返そうとした』んだよね。

シーナが慌てて交換してハンドくんには新しい物を返していたけど。


『あのあと、シーナとスゥに叱られていました。

『新しい物を買って返す』という知識がなかったようです。

あの2人はスゥがユリティアで購入した『マナー本』を読んで知ったようですね』


・・・久々にピコピコハンマーが登場するかと思ったよ。


『2人が止めなかったら登場していましたよ』



3人は少しずつ、ルールとマナーを覚えていっているようだね。


『獣人の大人にはその知識があります。

まだ子供で村の外に出ることもなかったため『教わる前』だったのでしょうね』


そういえば、『獣人の知識』も少なかったからセルヴァンとヨルクに教わっていたね。


『これからは少しずつ実践出来るようにしないといけませんね』


「これだから獣人は」って言葉、スゥたちは言われたくないだろうし、私も聞きたくないからね。


『彼女たちには、しっかり教育していきます』


うん。お願いね。


厳しいけど、『共存』していく以上、守れないと困るのは彼女たちだからね。

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