第27話




応接室でソファに座らされる。

目の前に土気色のレイソル・マクニカ・アストラム『自業自得』の三人衆。

鑑定で私のかけた魔法『浄化対象外』が切れてないのは確認済み。

でもステータスに『天罰続行中』とある。

これは一体全体なんじゃらほい。


『放っといてもすぐにわかると思うよ』


それは楽しみだ。



マクニカに「それで?『乙女の魔石』はいくつ買うの?」と聞いたら「今あるだけ全部」だって。

先日のアリスティアラとのやり取りを覚えてないらしい。


「へぇー。2万個以上も買えるんだ。そりゃあ大金だねー」


マクニカは「あっ」とか「えっ」とか言った後レイソルの様子を見ながら「『乙女の魔石』は一つ銀貨10枚で交換となります」と言ったとたん、レイソルとマクニカが悲鳴を上げて床を転げ回った。

のた打ち回る2人にアストラムは完全に怯えている。


『見えています?』


うん。全身にイバラが巻き付いているね。

あの状態で床に倒れたら更に突き刺さってるよね。

イタソーだな。


『痛そーだよな』


『本当に痛そうだ』


でも


『『『天罰』だから仕方ないなー』』


自業自得よね。


『まったくだ』




うーん。

話にならないしウルサイから、ハンドくんたちに言って


『『窓からポイッ』はダメですよ』


・・・ちぇーっ。

じゃあハンドくん。

『廊下へポイッ』してきて。

荊でケガしないように注意してね。


ハンドくんたちがポンッと現れて、レイソルとマクニカを部屋の外へポイッと投げ出した。

何か髪の毛を掴んだり、首の後ろを掴んだりって『普通ではない掴み方』をしてるのもいたけど・・・


『気のせい』


『木の精』


『樫の精』ってことで。


『『『そうそう!』』』


『『そうそう』じゃありません!』


『ウワッ!アリスティアラが怒った!』



・・・何か『鬼ごっこ』が始まってる気配がするけど。



『気のせい。気のせい』



うん。そうだね。

創造神が言うんだから『気のせい』だね。




それより


「私が『乙女の魔石』の価値を知らない訳ないのに」


女神様からちゃんと聞いているんだけど。


「ごまかそうとするから『バチ』が当たるんじゃい」


「『めた方がいい』と言ったんだけど・・・」


ドリトスの言葉にセルヴァンが頷く。

そっか。それは『罰が当たっても仕方がない』よなー。


「で?」


アストラムに目線を移すとカタカタと小刻みに震えている。


「一緒に騙そうとした?あ、ウソをつけば『見えない荊の刑』が待ってるよ」


そう言ったら、ただ目線を泳がして怯えるだけで返事がない。

また『某有名ゲームの名台詞』を口にするか?

その前に静電気魔法『ビリビリ』の威力を試してみようか。

気絶させてから名台詞を言った方が・・・



そんな『面白そうなこと』を考えていたらドアがノックされた。



もう復活したんかい。と思ったら鑑定魔法で表示されたのは違う名前。

床に転がっていたはずの『ぼったくり2人組』の名前は何処かへ移動中。


懲りずに治療院に運んでいるのだろうか。



昨日聞いた話だと『天罰』なんだから、どんな魔法でも解除は出来ないらしい。

解除自体『天に逆らう』行為だから治療師たちも天罰受けるし、2人はさらに悪化するんだよね。



『あたり』


『治療師たちへの天罰は軽めにしてるよ』


だったら神殿にそのこと伝えて下さいよ。

無理矢理従わされる治療師たちが可哀想じゃないですか。


『イヤイヤ。最初に天罰を与えた時点で神殿には『天罰だから触るな』と伝えてある』


『あれでも王と宰相だからな。『何とかしよう』とするんだ』


『あとで『治療院』を鑑定してごらん』


『ゴロゴロと『天罰を受けし者』の称号がいるぞ』


『賞罰欄に『天罰何回』って奴がうじゃうじゃ揃っているぞ』



それって「自分は王のためにこれだけ生命をかけたぞ」って自慢されるんじゃないの?



『それはない』


『天罰を受けた身体は、乙女のチカラでも浄化はされなくなる』


『浄化されない身体は寿命に関わるものだ』



じゃあ『浄化対象外』の状態?



『それ以上だ』


『『浄化対象外』は浄化されないだけで『汚れた空気を吸って生きていく』事が出来る』


『だが天罰の場合は違う。埃の溜まった空間で呼吸するようなものだ。肺や内臓に埃が溜まり機能を低下させていく。そして死を迎える』



ああ。私の世界で問題になった『アスベスト被害』のようなものか。



『そうだな』




『ただ・・・『賞罰』は死んでも消えない』


『賞罰にある天罰の回数は『生まれ変わる』と一つ減るが『天罰』を受けた状態で生まれ変わる』



それって・・・この世界の人たちは知ってるの?



『もちろん知っている』


『この世界に生まれてすぐ、神父に『賞罰欄』を確認される』


『賞罰の有無で、まず将来が決まる』


『天罰の場合は『これ以上の天罰を受けないように』との理由から、神殿の地下にある檻の中で機を織り一生を終える』



確かに人との接触が少なければ、その分『天罰を受けにくい』よね。



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