転生したら防御チートを手に入れたのでので死亡予定の悪役令嬢を守ってみせる

プロローグ

俺は武山一たけやまはじめ、銀行員である。

俺のポリシーは［自分第一］だ。

他人の事など気にかけず、自分の事だけを考えて今まで生きてきた。

俺はいつも通り出勤する。

町を歩いていると募金だのボランティアだの言っている偽善者がうじゃうじゃいる。そんなことして何の利益があるというのだ。

「おはようございます」

俺は定時に出勤する。早くから来て仕事なんて馬鹿らしいことやってられるか。

もちろん帰りも定時だ。

すぐに準備を終わらせると銀行が開く。

今日も仕事が始まる。

今日は土曜日なので朝から人が多い。

「はい、44番の方ー」

昼前、普通に仕事をしていると、全身黒色の服でマスクを被っている人達が現れた。

「動くな！ 大人しくしろ！」

1人の男が銃を取り出し、客の一人を人質に取る。

「おい、このバッグに1億詰めろ。早く！ こいつがどうなっても良いのか？」

なんだと！ 銀行強盗！？

どうしよう死にたくない！

「早く詰めろ！」

僕は仕事仲間にそう叫ぶ。

「え、でも……」

「いいから！」

「すみません、今すぐ詰めますので命だけは助けて下さい！」

俺は銃を持った男の足を掴み、そう懇願する。

「おい離せ！ おい！」

「お願いします！ お願いします！」

「うわっ！」

男は俺の手を振り払おうとしてバランスを崩し、転倒する。

「今だっ！」

同僚達がその隙に男を捕らえようとした。

しかし、男はすぐに立ち上がり銃をこちらに向ける。

「てめぇ、狙ってやがったな……」

「そんなことありません！」

「うるせぇ！ 死ね！」

バン！ バン！ バン！

男は俺に銃を撃つ。

撃った3発とも命中し、俺は絶命した。

――あぁ、何でこうなったのかな……

そこは何も無い真っ白の空間だった。

死んだはずの俺は謎の場所にいるのだ。

「どこだ？ ここ」

「ここは天界とでも言っておきましょうか」

「誰だ！」

「私はこの世界の神のようなものです。申し訳ございません。こちらの手違いであなたを死ぬことにしてしまいました」

「は？ 手違い？ そんなんで命奪われてたらたまったもんじゃねぇよ！」

「申し訳ございません。お詫びとしてすぐに転生させてあげましょう」

「生き返れないのか？」

「世の理に逆らうことは出来ません」

「わかった。転生させてもらおうじゃないか」

「どのような人生を送りたいですか？」

「俺は自分の事を第一に考えたから死んだようなものだ。だから今度は誰かを守れるような人生を送りたい」

「わかりました。ならこの世界ですね。この世界であなたにはやってもらいたい事があります」

「やってもらいたい事？」

手違いで人を殺しておきながら何か頼むのかよ、と思いつつも聞いてみる。

「ある貴族の娘がいるのですが王女になりたいがために他を蹴落とそうとするのです。

あなた達で言う悪役令嬢ですね。

その娘は最終的には恨みを買った女達に殺されてしまうのです」

「女は怖ぇな。ようするに悪役令嬢を改心させろって事でいいか？」

「まぁそうですね。では転生の門を開きますよ」

「おう、準備オッケーだ」

何も無かった空間に大きな扉が現れる。

「では、第二の人生楽しんでください」

視界が真っ白になった。